日本経団連タイムス No.2921 (2008年9月18日)

提言「観光立国の早期実現に向けて」を発表

−推進体制への意見中心に経済界の考え取りまとめ


日本経団連は16日、提言「観光立国の早期実現に向けて」を発表した。同提言は、今年10月1日に観光庁が発足することを契機として、観光立国の実現に向けた官民の推進体制に対する意見を中心に経済界の考えを取りまとめたものである。概要は次のとおり。

観光庁の発足を契機に

日本経団連ではかねて、魅力ある国づくりという観点から、観光立国の実現に向けた諸施策を提言してきた。これは、われわれの生活空間を魅力あるものとしつつ、日本固有の伝統・文化・自然に加え、企業の最新テクノロジーなども観光資源として活用し、それらによって、地域活性化と国際社会における日本のプレゼンス向上を実現させようという取り組みである。

観光立国の実現に向けては、2003年に「ビジット・ジャパン・キャンペーン」が開始されて以来、訪日外国人旅行者数の大幅な増加や観光立国推進基本法の制定など、この5年間で着実に進展がみられる。その一方で、関係省庁間の連携体制の構築や、観光立国に対する認知度の向上等の課題が残されている。

そこで提言では、観光庁に対して、次の3つの機能を求めている。

1点目は、政府内の総合調整である。各省庁の観光関連行政の総合調整を行いつつ、基本計画の進捗状況を常にチェックし、PDCAサイクルを徹底することを求めている。官邸機能を活用する観点からは、観光庁と内閣官房が主宰して関係省庁と民間企業が中心となる官民協議会を設置することを提案している。加えて将来的には、各省庁の関連部署や関連審議会等の整理・統合を図ることも視野に入れるべきとしている。

2点目は、国と地方の連携強化である。国の観光立国戦略が地方自治体の現場にまで反映される仕組みを構築する必要性を指摘している。

3点目は、日中韓三国の連携強化である。06年から毎年開催されている日中韓観光大臣会合を活用して、日中韓を中心とした北東アジア観光ゾーン形成に向けた施策を多層的に展開すべきとしている。

また、政府の果たすべき役割としては、これらに加えて、日本政府観光局の国際観光プロモーション機能が十分に発揮されるよう、事業環境の整備を求めている。

民間部門の役割の中で、日本経団連観光委員会は、今後、観光立国を経済界の主要テーマに位置付けるべく、あらゆる機会を通じて会員企業にその重要性を周知していくと表明している。また、早期に観光庁を中心とした政府との協議会を設立して、観光行政における政府の総合調整機能の強化を促すとともに、本格的な官民政策対話を行い、産業界の考え方を実現するほか、観光分野における日中韓協力の新たなスキームづくりに努力していきたいとの考えを示した。

【産業第一本部国土担当】
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