日本経団連タイムス No.2922 (2008年9月25日)

NICC経営者団体職員育成コースが修了

−帰国後の行動計画発表/自国経営者団体強化に意欲


日本経団連国際協力センター(NICC、御手洗冨士夫理事長)は2日から11日の日程で、アジア太平洋・アフリカ17カ国の経営者団体の今後を担う若手指導者18名を経営者団体職員育成コースの研修員として日本に招聘した(9月11日号既報)。

同プログラムは日本経団連の鈴木正人参与への表敬訪問で始まり、研修員はまず日本経団連の組織・概要、事業活動、委員会活動と政策立案について学んだ。その後、東京経営者協会の活動について講義を受け、埼玉県経営者協会、兵庫県経営者協会を訪問した。

途上国の経営者団体は経営基盤が脆弱なところも多く、サービスも不十分なため、会員企業との間に問題を抱えている場合が少なくない。今回参加した研修員たちも、経営者団体の職員として「会員企業との緊密な関係をどう構築するか」「どのようなサービスを会員企業に提供して、会員の需要に応えるか」「どのように経営基盤を強化するか」を主たる課題として来日した。東京経営者協会の講義、埼玉県経営者協会、兵庫県経営者協会への訪問では、経営者団体職員として、日本の経営者協会の活動を積極的に吸収して自国に役立てようと、質問が絶えなかった。また、会員企業に対して、どのような事業サービスを提供するべきか悩んでいた研修員たちにとって日本経団連の事業活動、とりわけ、出版事業は多くの研修員の関心を呼び、自国に戻ったら出版事業に着手したいという研修員が多かった。日本経団連の事業活動についてはセミナー事業についても関心が高く、自国でセミナーを実施し、会員企業に情報提供をしていきたいと研修員たちは意欲を高めていた。

プログラムには企業訪問も盛り込まれ、埼玉ではフジノンを、兵庫では川崎重工車両カンパニーを訪問し、人事・労務分野での取り組みについてヒアリングを行うとともに、工場見学では日本の工場の清潔さと効率的な運営に目を見張った。京都では障害者の従業員が製造を担っているオムロン京都太陽を訪問し、研修員たちは日本の障害者雇用について感銘を受けたようだった。また、連合国際局を訪問し、良好な労使関係の重要性を学んだ。

プログラム終了日には研修成果をもとに帰国後1年間のアクションプランを発表した。その中で最も多くの研修員が「調査および出版」「セミナー」「研修(の改善)」により、経営者団体の強化に努めたいとした。そのほかに「法律相談」「政策提言」「出向制度の導入」等、同プログラムから学んだことをそれぞれの形で、自国に生かそうとする姿勢がみられた。

プログラム終了時の「このプログラムに参加して日本に対する印象は変わったか」という質問に対して、研修員全員が「日本に対して来日前よりも良い印象を持った。日本を知ることができて良かった」「思っていた以上に、日本人は親切だった」と述べた。

このようなプログラムを通じて、日本と各国との友好的な関係を構築し、日本に対する理解を深め、日本企業進出の際に日本企業が現地社会から受け入れられやすい素地をつくっておくことに、わずかなりとも貢献できたのではないかと思われる。

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