日本経団連タイムス No.2923 (2008年10月2日)

法相ら法務省首脳と懇談

−司法制度改革で意見交換


日本経団連は9月17日、都内のホテルで保岡興治法務大臣(当時)をはじめとする法務省首脳との懇談会を開催し、司法制度改革の推進の必要性について意見交換を行った。

懇談会には法務省からは保岡法相のほか佐藤剛男法務副大臣、早川忠孝法務大臣政務官らが、日本経団連からは、御手洗冨士夫会長、米倉弘昌評議員会議長、三村明夫副会長、森田富治郎副会長、岩沙弘道副会長らが出席した。

冒頭あいさつに立った御手洗会長は、「市場経済が広がり、社会がグローバル化する中で、透明なルールと自己責任の理念を確立させることが急務となっている。そのためには、事前規制から事後規制へという構造改革の大きな流れを、ぜひ進める必要があり、司法制度改革はその重要な方策と考える」と指摘。これを受けてあいさつした保岡法相は、「司法制度改革は、ルールとフェアプレーの精神に基づき、わが国を自由で活力あるものにするための土台である。ただ司法制度改革は、現在、克服すべき課題にも直面している」と述べた。

このあと佐藤副大臣および早川大臣政務官のあいさつの後、保岡法相が司法制度改革の現状と課題について説明を行った。

まず、法曹人口をめぐる課題の中で、特に企業における法曹有資格者の活用について、これからの企業においては、法曹有資格者が、企業法務の分野の充実・強化のみならず、コンプライアンスの徹底、適切なコーポレートガバナンスの実現など企業活動を促進する役割を担うとともに、企業経営においても有為な人材として参画することが望まれるところであるが、いまだ十分な活用がされているとは言い難い状況にあることから、例えば法科大学院生の企業へのインターンシップ、企業から法科大学院への講師派遣、企業から法科大学院への留学など法曹有資格者の活用を積極的に進めるための方策を一緒に検討していきたい、という指摘があった。

次に、裁判員制度については、法務省側から裁判員制度の成功のための裁判員制度広報や企業における環境整備をさらに進めてほしいとの要請があった。

これに対し、日本経団連側からは、経済法規委員会のメンバー企業を対象に行った裁判員休暇制度アンケート(詳細については別掲)の結果、従業員が裁判員に選ばれた場合の特別の有給休暇制度の創設等、着々と環境整備が進められていることが紹介されるとともに、裁判員制度の成功に向け、引き続き裁判員制度の広報や必要な環境整備に協力するとの発言があり、法務省と日本経団連で、司法制度改革の進展に向け、引き続き連携していくことが確認された。

【経済第二本部経済法制担当】
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