日本経団連タイムス No.2924 (2008年10月9日)

「留学生30万人計画」の検討状況踏まえ留学生の質・量向上へ

−留学生数は約12万人に/産業技術委員会産学官連携推進部会


日本経団連は9月30日、東京・大手町の経団連会館で産業技術委員会の産学官連携推進部会(西山徹部会長)を開催した。

同会合では、文部科学省高等教育局学生支援課留学生交流室の江崎典宏室長から、今年7月に骨子がまとめられた「留学生30万人計画」の検討状況を中心に説明を聴き、意見交換を行った。

まず、江崎室長は、日本における留学生受け入れの状況として、留学生数は約12万人にまで増えたが、アジア地域の出身者が9割強を占め、特に中国出身者が6割を占めていることを指摘した。また、留学生の卒業後の進路状況として、全体では約3割が日本で就職していることを説明した。

続いて、「留学生30万人計画」は、日本を世界により開かれた国とし、アジア、世界との間のヒト、モノ、カネ、情報の流れを拡大する「グローバル戦略」を展開する一環であること、関係省庁・機関等が総合的・有機的に連携して推進するものであることを強調した。

また、具体的方策として、(1)日本文化の発信や日本語教育の拡大等による日本留学の動機付けとワンストップサービスの展開(2)留学情報の入手から入学許可、宿舎決定までを母国で可能とすること等による日本留学の円滑化(3)英語のみによる学位取得を可能とし、国際的な教育研究拠点をつくること等による魅力ある大学づくり(4)宿舎の確保や奨学金制度の改善等による安心して勉学に専念できる環境への取り組み(5)産学官が連携した就職支援や在留期間の見直し等による社会のグローバル化――について説明した。

さらに、江崎室長は、各省庁の現在の留学生関連施策として、経済産業省と文部科学省が昨年度から進めている「アジア人財資金構想」や、厚生労働省が今年度から進めている「留学生インターンシップ」について説明した。

説明後に行われた意見交換では、日本経団連側から「30万人という数字自体が目的となり、戦略なしに数だけを増やすことは避けたい。例えば、イノベーションの主たる担い手となる理系の大学院生に重点を置くなど、メリハリが必要ではないか」との意見が出された。これについて江崎室長は、「『留学生30万人計画』骨子の趣旨にもあるとおり、国・地域・分野などに留意しつつ、優秀な留学生を戦略的に獲得していくことが重要であると考えている」との見解を示した。

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日本経団連では今年5月に提言「国際競争力強化に資する課題解決型イノベーションの推進に向けて」を取りまとめた。今後は、同提言に盛り込んだ“留学生の質・量両面での向上”について、「留学生30万人計画」の検討状況も踏まえつつ、検討を深めることとしている。

【産業第二本部技術担当】
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