日本経団連タイムス No.2926 (2008年10月23日)

IUCN・世界自然保護会議、6名の参加団派遣

−日本経団連自然保護協議会


日本産業界の取り組み紹介

日本経団連自然保護協議会(大久保尚武会長)は、国際自然保護連合(IUCN)主催の「世界自然保護会議」(10月5〜14日、スペイン・バルセロナ、参加者8000人)に、三井物産の吉田元一副社長(自然保護協議会監事)を団長とする6名の参加団を送り、日本の産業界の自然保護への取り組みについて情報発信等を行った。

同協議会では、この会議を、国際的NGOとの交流や日本発の情報発信の場ととらえ、1996年以降毎回参加しており、IUCNのルフェーブル事務局長からは、表敬訪問した際に、積極的な関与に対して謝辞を受けた。

IUCNは、同協議会のために、最も注目度の高いイベントとして行われたパネルディスカッション(世界有数の財団幹部が、21世紀のフィランソロピーについて議論するもの)の中に、特別に発言の機会を用意。吉田団長は、日本経団連自然保護基金および同協議会を紹介した上で、活動の特徴である、企業とNGOのコラボレーションの重要性について、成功事例などを交え説明した。

また、別途行われた記者会見で、吉田団長が、基金と協議会の支援実績等を説明するとともに、(1)具体的な自然保護活動に対する支援の重要性(2)他の基金等からの支援が受けやすくなる呼び水効果や、現地視察等を通じたNGOの認知度向上などの間接的効果(3)企業とNGOの協働を推進するための活動(4)生物多様性問題についての企業への啓発活動――について説明し、続いて参加した企業3社(積水化学工業、損害保険ジャパン、電通)が各社の取り組みを紹介した。その後、国際NGOであるバードライフおよびトラフィックの幹部から同協議会の支援がNGOの現場活動にどのように活かされているのかという点についてスピーチがあった。国際NGO幹部から、日本経済界の支援について公の場で発言があったのは画期的といえる。

派遣団はこのほか、さまざまなNGOとの情報交換やワークショップへの参加を行った。例えば、「持続可能な発展のための世界経済人会議(WBCSD)」との懇談では、生物多様性問題に対する産業界の参画のあり方について意見交換し、2010年に名古屋で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に向けて、協力していくことで一致した。また、バードライフ幹部との懇談では、COP10に向けて「企業の参加促進」と「生物多様性の知名度向上」等について日本のリーダーシップへの期待が表明された。

今回の会議においては、全体を通じて、生物多様性問題への企業の参加促進を呼びかける論調が多く聞かれる一方、COPに向けて、自らの活動の方向性を探るNGOの地道な取り組みも見られた。産業界の取りまとめ役として企業の参加を促進し、また、産業界とNGOとのパイプ役として双方の協働を促進するという日本経団連自然保護協議会の役割は従来にも増して大きくなっており、今後の協議会の活動に活かしていく必要がある。

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