日本経団連タイムス No.2928 (2008年11月13日)

仙台で第61回東北経営者大会

−人材確保・育成、中小企業・東北地域活性化をテーマに


東北経営者協会・宮城県経営者協会(幕田圭一会長)が主催(日本経団連協賛)する第61回東北経営者大会が6日、仙台市内のホテルで開催された。同大会には、東北6県の経営者協会の会員企業代表者ら約500人が参加した。

日本経団連からは、御手洗冨士夫会長をはじめ鈴木正一郎評議員会副議長・雇用委員長、岡部正彦国民生活委員長らが参加。人材確保と人材育成、中小企業の活性化や地域活性化など東北経済を取り巻く現状と課題への対応について参加者と意見交換を行った。

意見交換の冒頭にあいさつした御手洗会長は、世界経済の減速の下、わが国経済も非常に厳しい環境に置かれているとの認識を示し、自らの手で1日も早く景気を回復軌道に乗せる必要があると指摘した。

その上で、わが国が直面する重要課題として、(1)今後ますます進展する経済のグローバル化の中、オープンで柔軟性のある経済構造を構築する(2)新しい原燃料価格に適応できる経済構造に変化させるとともに、地球温暖化防止の観点から、経済と環境が両立する社会の構築に取り組む(3)人口減少社会の中、いかなる環境の下でも自らの力で発展・成長していくことが可能な足腰の強い経済をつくり上げるとともに、社会保障に対する国民の不安を解消するため、税・財政・社会保障制度の一体的な改革による持続可能な制度を構築する――の3つを挙げた。

■ 意見交換

意見交換では参加者から、(1)企業立地に伴う人材確保の懸念と人材育成(2)中小企業の活性化(3)東北における地域活性化――などについて発言があった。

これに対し日本経団連は、人材確保と人材育成について、「必要な人材を適切に処遇していくため、仕事・役割・貢献度を基軸とした処遇制度への見直しを図るとともに、市町村や県の枠を越えた広域連携を進め、地域全体で人材の確保・育成を図ることが重要」「自社の求める人材像を明確にした上で、適切な人材育成・教育訓練に取り組む必要性が高まっている」と応えた。

中小企業の活性化については、「これまで以上に、優れたノウハウや技術を持つ企業同士が柔軟に連携していく仕組みを整備することが必要」「OB人材が持つ技術やノウハウ、実務経験は、中小企業の技術向上や地域資源を活用した特産品の開発・販路開拓、産業人材の育成に有効」と指摘。また、東北における地域活性化に関連して、「個人消費の回復の観点からも、安心できる社会保障制度構築と安定財源確保に向けた税制抜本改革の具体化が不可欠」「成長を続ける中小企業の多くは、中長期的な視点に立った人材育成に積極的に取り組んでおり、従業員一人ひとりの能力向上、モチベーションを高める取り組みが重要」などと発言した。

最後に、意見交換を総括した御手洗会長は、「地域経済」「中小企業経営」「雇用・労働」といったテーマは今後のわが国経済、社会を考える上での重要な課題であり、その解決には道州制の実現が有効との認識を示した。その上で、東京一極集中の弊害を取り除き、地域の活力を取り戻すことが重要と指摘、東北が取り組んでいる産学官や複数企業間連携の促進、地域の活力強化の取り組みを挙げ、活力にあふれる自立した地域社会を構築するための、さらなる連携強化に向けた東北経協の活動に期待を表明した。

【総務本部組織協力担当】
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