日本経団連タイムス No.2932 (2008年12月15日)

日本アルジェリア合同経済委員会開催

−多様な分野で経済関係構築へ/日本企業の投資に期待示す


日本経団連の日本アルジェリア経済委員会(重久吉弘委員長)は11月24日、アルジェリアの首都アルジェにおいて、アルジェリア経営者フォーラム(FCE、レダ・ハミアニ会長)との間で、第6回日本アルジェリア合同経済委員会を開催した。合同委員会には、日本側代表団約90名、アルジェリア側代表団約160名が参加した。

テンマール産業・貿易投資促進大臣も出席して行われた開会式であいさつした重久委員長、ハミアニ会長は、アルジェリアの主要産業である天然ガス、石油などのエネルギー分野における一層の協力を図るとともに、同国が推進する産業多角化に合わせ、多様な分野で経済関係を構築することの重要性を強調した。

続いて、同国のマクロ経済情勢とビジネス環境の報告が行われた。これによると、アルジェリア経済は1999年以降、順調に成長しており、2007年のGDP成長率は4.6%を記録。インフレ率は2.5%に抑制され、対外債務もほとんどなく経済は安定している。現時点では世界的な金融不安の影響は軽微であるが、最近の為替レートの急激な変動に懸念が示されているとのことであった。

また日本側からは、事前のアンケート調査結果に基づき、外国為替制度の近代化、各種手続きの効率化、インフラ整備、治安などビジネス環境の改善を要請した。アルジェリア側は率直な指摘を歓迎し、課題の解決に向けて政府に働きかけるなど協力していくことを約束した。

次にアルジェリアの外務省と商務省から通商政策の説明があった。これまで日本からの直接投資の実績はほとんどないが、人口3500万人のアルジェリアは、17年にEUとの自由貿易圏の完成をめざしており、EU向け製品の製造・輸出基地として、さらには地中海経済圏をにらんだ市場として有望であるとして、日本企業の投資に期待を表明した。

会議後半では、エネルギー分野や、日本企業が進めている高速道路建設プロジェクトなどのインフラ整備分野について、双方の発表者が現状や今後の見通しを報告するとともに、アルジェリア側が期待する住宅、自動車、製薬、情報通信、漁業などの分野での協力の可能性について議論した。

また、合同委員会の関連日程として、日本側代表団の主要メンバーがメデルチ外務大臣を表敬訪問。大臣は、これまでの炭化水素分野における日本の協力に対して謝意を示すとともに、住宅建設や自動車など多様な分野で日本の投資促進に期待を表明した。

翌日、日本側代表団はアルジェ市内にある世界最大規模の海水淡水化施設などを見学し、同国の新たなインフラビジネスの可能性について理解を深めた。

【国際第二本部中南米・中東・アフリカ担当】
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