日本経団連タイムス No.2933 (2009年1月1日)

日本インドネシア経済フォーラム開催

−「日本インドネシア友好年」を記念


2008年は、日本とインドネシアが外交関係を樹立してから50周年に当たる「日本インドネシア友好年」であり、両国の各地でさまざまな催しが開催された。また同年は、7月1日に日本・インドネシア経済連携協定(EPA)が発効し、これを活用した両国経済関係の一層の拡大と深化が期待されている。

そこで、日本インドネシア経済委員会(興津誠共同委員長、辻亨共同委員長)では12月1日、東京・大手町の経団連会館で、「日本インドネシア経済フォーラム」を開催した。フォーラムには、中曽根弘文外務大臣、マリ・パンゲストゥ・インドネシア商業大臣、インドネシア商工会議所(KADIN)メンバーをはじめ両国の各界関係者約300名が出席した。

開会式であいさつした御手洗冨士夫会長は、現下のグローバルな金融不安は実体経済への下方圧力を強めており、両国を含む東アジア経済が有する力強いダイナミズムでこの苦境を乗り切ることが必要と指摘した。

基調講演に立ったマリ商業大臣は、まず、世界金融不安に対するインドネシア政府の包括的な経済政策を紹介した。また、両国経済関係におけるEPAの歴史的意義や、両国EPA締結に至る日本経団連の貢献に触れるとともに、将来の両国経済関係の発展に期待を示した。

続いて、興津共同委員長の進行の下、「日インドネシアEPA後の経済連携の拡大と深化」と題してパネルディスカッションを行った。

冒頭、白石隆政策研究大学院大学副学長は、両国の戦略的同盟関係を振り返るとともに、09年に予定される大統領選挙の結果にかかわらず、インドネシアの民主主義や経済政策に大きな変更はないとの見解を示し、両国経済関係は長期的に安定的であると述べた。

また、クスモKADINインドネシア・日本経済委員長は、持続的な成長に向けたKADINの提言活動等を紹介し、自動車や電機・電子分野および中小企業レベルの協力関係拡充の重要性を強調した。

一方、小室誠二ジャカルタ・ジャパン・クラブ理事長は、現地での日本の官民の取り組みを紹介するとともに、投資環境整備により、貧困削減やインフラ整備など日系企業の要望が着実に実施されるようインドネシア側に期待を表明した。

最後に、マリ商業大臣は、今後の日インドネシア経済関係の発展の方向に触れ、東アジア経済統合の見直しとともに、ASEAN+6(日中韓印豪NZ)をベースとした東アジアEPAにおいて、原産地規則の統一や物流効率化などに向けて、協力して取り組んでいくと述べた。

これらの議論を受けて、辻共同委員長は、現下の厳しい経済情勢の中、両国はこれまで以上に緊密に連携し、EPAの活用や投資・ビジネス環境の整備に資する法的・制度的な枠組みの構築を通じて、足腰の強い経済環境を実現しなければならないと締めくくった。

【国際第二本部経済連携担当】
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