日本経団連タイムス No.2935 (2009年1月22日)

2009年優先政策事項発表

−未曽有の危機的状況打開へ



記者会見する大橋委員長

日本経団連は14日、2009年優先政策事項を発表した。優先政策事項とは日本経団連の提言などの中から、政治にぜひとも実現してもらいたい重要事項をまとめたもの。政党の政策評価の尺度となるもので、03年の策定以来、毎年改訂を行っている。

発表記者会見で、大橋光夫政治対策委員長は、「今回の改訂では、『基本的な考え方』の部分で未曾有の危機的状況を打開するために、政策を総動員すべきであることを第一に強調し、これにあわせて、『当面の優先政策』でも、第1項目に『緊急・大型の経済対策による景気刺激・金融安定化』という文言を盛り込むとともに、第7項目では『雇用のセーフティネットの強化』を前面に打ち出した」と説明した。一方、中長期的な成長基盤を確固たるものとするためには、構造改革の継続が不可欠であり、この点についても改めて強調していると語った。最後に大橋委員長は、「今後、この優先政策事項に基づき、政策評価の準備を進めていく。難しい政治状況にあるが、与野党にはこれを乗り越えて、建設的に政策を協議し、その成果を国民に示してもらいたい」と述べた。

優先政策事項の全文は次のとおり。


2009年優先政策事項

基本的な考え方

国際的な金融危機を契機に世界は同時不況の様相を呈し、わが国の実体経済にも深刻な影響が及んでいる。この未曾有の危機的状況を打開するため、わが国も政策を総動員しなければならない。一方、中長期的な成長基盤を確固たるものとするためには、構造的な改革を継続する必要がある。簡素で効率的な政府、多様な機会が開かれ公正な競争に支えられた社会、精神面を含めた豊かな生活、そして国際社会から信頼され親しまれる日本を実現するため、経済・社会のあり方を刷新することが求められる。

このように課題が山積する中で、政党に求められるのは国民本位・国益優先の観点からの責任ある行動である。与野党は建設的に政策を協議し、その成果を国民に示すべきである。

当面の優先政策

当面、以下の10項目の政策の推進が極めて重要である。

  1. 緊急・大型の経済対策による景気刺激・金融安定化と税・財政の抜本改革の推進

  2. 安心で持続可能な社会保障制度の確立と少子化対策の推進

  3. 民間活力の発揮を促す規制改革・民間開放、電子行政の実現と経済法制等の整備

  4. 産業の国際競争力強化に向けたイノベーションの推進

  5. 持続可能で活力ある経済社会の実現に向けた資源・エネルギー政策と地球環境対策の推進

  6. 公徳心をもち心豊かで個性ある人材を育成する教育改革の推進

  7. 雇用のセーフティネットの強化と雇用・就労の多様化の促進

  8. 道州制の導入の推進と魅力ある経済圏の確立

  9. グローバル競争の激化に即応した通商・投資・経済協力政策の推進

  10. 戦略的な外交・安全保障の推進と憲法改正に向けた合意形成

上記優先政策事項は、2009年の政党の政策評価の尺度となる。

【社会第二本部政治担当】
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