日本経団連タイムス No.2935 (2009年1月22日)

COP14でのポスト京都議定書国際枠組の交渉状況を経産省から聴く

−環境安全委員会地球環境部会


日本経団連は12月26日、東京・大手町の経団連会館で環境安全委員会地球環境部会(猪野博行部会長)を開催した。当日は、12月1日から12日の日程でポーランドにおいて開催された国連気候変動枠組条約第14回締約国会議(COP14)におけるポスト京都議定書の国際枠組に関する交渉の模様について、日本政府交渉団の一員として交渉に当たった有馬純経済産業省大臣官房審議官から説明を聴き、意見交換を行った。

有馬審議官の説明は以下のとおり。

今般のCOP14は、昨年のCOP13において採択されたバリ・アクションプランに基づく、ポスト京都議定書の国際枠組に係る交渉の中間レビューと位置付けられており、COP14以来の過去4回の作業部会の成果を踏まえ、COP15に向けた作業計画を合意することがねらいであった。期待どおりの成果として今後の作業計画が合意された。

また、各国の提案を列記した議長編纂文書も採択された。編纂文書には、2050年半減、セクター別アプローチ、途上国の差異化といった日本提案も含め、提出されたすべての国の提案が記載されている。今後、3月に開催される交渉を経て、6月に議長提案のかたちで論点が絞り込まれたかたちの交渉テキストが提示される予定である。論点の絞り込みの際に、わが国の主張が残ることが重要である。

京都議定書の延長を前提とする京都議定書の附属書1国(排出削減義務を負う先進国)の2013年以降の中期排出削減目標については、今回、作業部会の議長総括において、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次報告書を引用するかたちで、CO濃度を450ppm以内に抑えるためには、附属書1国が2020年までに1990年比25〜40%の削減をする必要があるとの指摘があることに留意するという従来どおりの記述にとどまった。今後、途上国を中心に、先進国の率先した取り組みを主張する声が強くなる可能性は否定できない。オバマ次期大統領(当時)が言及しているように、米国が90年比プラスマイナス0%をめざす場合、先進国全体で90年比25〜40%削減をめざすことが果たして現実的なのか、という議論を喚起していきたい。

ポスト京都議定書の国際枠組に関する作業部会における議論が膠着状態に陥り、米国や途上国の意味ある形で参加する枠組が構築されない中で、COP15において京都議定書の延長が合意されるというのは望ましくない。京都議定書には米国が参加しておらず、中国、インド等の主要排出国が削減義務を負わないため、わが国がかねて主張してきた「すべての主要国が参加する実効的な国際枠組」とならなくなる。

【産業第三本部環境担当】
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