日本経団連タイムス No.2942 (2009年3月12日)

経産省の金融危機対策聴く

−金融制度委員会企画部会


日本経団連は2月27日、東京・大手町の経団連会館で金融制度委員会企画部会(山崎敏邦部会長)を開催した。同部会では、経済産業省経済産業政策局の浜辺哲也産業資金課長を招き、中堅・大企業の資金繰り対策や産業活力再生特別措置法(以下、産活法)の改正などといった、昨今の世界的な金融危機に対する経産省の取り組みについて説明を聴くとともに意見交換を行った。浜辺課長の説明は以下のとおり。

大企業の資金調達方法として、世界金融危機の影響により、社債やCPの発行から、銀行借り入れへのシフトが強まってきた。しかし、銀行側は株価下落による自己資本比率が低下し、BIS規制に対応するためにはリスクアセットをむやみに増やすことができずに、ニーズに十分応えることが困難となっている。このような状況を受け、政府による資金繰り対策を求めるニーズが高まることとなった。

政府による資金繰り対策としては、大きく分けて2つある。まず、日本政策投資銀行および商工中金による低利融資は、第2次補正予算により年度内1兆円が確保され、日本政策投資銀行を活用した企業のCPの買取も、第2次補正予算により、年度内2兆円が確保された。これらはともに21年度予算でも同額を予定している。なお、リスクが高い案件に対応するため、日本政策投資銀行および商工中金の低利融資やCP買取等の一部に、日本政策金融公庫が損害担保契約付与等を行う。

産活法の改正による取り組みについても大別して2つある。第1に、中小企業基盤整備機構が、主として中堅企業に対する資金繰り対策を目的として、改正後の産活法上の認定事業者等に対する民間金融機関の融資に、債務保証を行うもの(保証限度額は20億円、保証割合は50〜70%で検討中)である。第2に、将来において企業価値の向上が見込まれるものの今般の金融危機を受けて急激に売り上げ等が悪化し出資が不可欠な企業に対する日本政策投資銀行等による出資が毀損した場合に、損失の一部を日本政策金融公庫が補填する措置である。なお、この制度は、一部で報道された、企業に直接公的資金を注入するものではない。この制度の適用を受けるための要件は現在検討中であるが、(1)世界的な金融危機の影響により、急激に売り上げ等が悪化し、融資だけでなく出資が不可欠であること(2)原則として3年間で企業価値の向上が見込まれる事業計画を有していることについて、業所管大臣の認定を受けること(3)国民経済に及ぼす影響が大きいこと(雇用規模が大きい企業、あるいは雇用規模が大きい企業に代替困難な基幹部品等の相当割合を供給している企業など)(4)このスキームによる出資を前提に、他の民間金融機関等が融資等を行う予定があること――などのすべてを満たす企業が対象となり得る。

また、海外展開企業に対して、JBICの投資金融業務の対象を、先進国向けおよび大企業にも拡大し、NEXIの海外事業貸付保険の対象を、運転資金(1年以上)や親会社保証付きにも拡大し、信用危険の付保率の上限を引き上げた(現行50%から90%へ)。

【経済第二本部経済法制担当】
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