日本経団連タイムス No.2942 (2009年3月12日)

〔緊急〕雇用安定セミナー開催

−労働契約上の留意点と実務のポイントを具体的に解説/日本経団連事業サービス


日本経団連事業サービスは2月26日、東京・大手町の経団連会館で、日本経団連との共同企画により、企業の雇用施策における法令順守と留意点をテーマに、[緊急]雇用安定セミナーを開催した。

同セミナーは、日本経済が100年に1度ともいわれる危機に直面している厳しい状況下で、企業を取り巻く経営環境が急激に悪化し、雇用にも影響が生じていることを受け、企業の雇用施策に関する法令上の留意点に関し、企業の人事・労務担当者を対象に急きょ開催したもの。

各企業では現在、企業の存続と雇用の維持を最優先に、さまざまな雇用施策の取り組みを進めているが、雇用や労働契約に関する諸法令の正しい知識を担当者に改めて確認してもらうとともに、法令順守に努めてもらうことを目的としている。

セミナーではまず、労働問題を専門とする弁護士の木下潮音氏が、(1)労働契約法の下での労働契約(2)有期労働契約における留意点(3)採用の内定とその取り消し問題(4)試用期間中および試用期間満了時の本採用拒絶の問題点(5)解雇権濫用法理の意義と留意点(6)労働契約解消をめぐる紛争――などの点について解説するとともに、質疑応答を行った。

講演の中で木下氏は、有期労働契約の期間途中の解雇は、解雇権濫用法理による解雇無効以上に厳しく制限されるため、適正な労働契約期間を定めることが重要であること、労働契約期間の定めのない従業員の人員整理を行う場合は、整理解雇に先立って希望退職募集や時間外労働の適正な管理などを行うとともに、労働組合や従業員と十分に協議するなどのプロセスが重要であることなど、法令上の留意点や実務面でのポイントを明快にわかりやすく解説した。

参加者と質疑応答

続いて行われた参加者との質疑応答では、ワークシェアリングの問題や事業所閉鎖に伴う当該事業所採用者の配転問題をはじめ、多くの参加者から、さまざまな質問が出され、企業が雇用問題に懸命に取り組んでいる様子がうかがえた。

参加者からは、「要点がよくわかって参考になった」「事例を交えた説明で非常にわかりやすかった」「アドバイスが具体的であった」「実践的な内容で自社の施策の参考にしたい」――など、「大変よかった」との声がほとんどであった。

また、セミナーの最後には、日本経団連担当者が、「中小企業緊急雇用安定助成金」の内容や手続き方法を中心に、雇用関係の助成金についての概説を行った。

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日本経団連事業サービスでは、諸法令の正しい知識や改正内容と留意点などについて、今後も適宜、セミナーや書籍発行等を通じて情報提供・啓発していく予定。

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