日本経団連タイムス No.2955 (2009年6月18日)

産活法改正のポイント聴く

−経産省審議官らが説明/金融制度委員会


日本経団連は5日、東京・大手町の経団連会館で金融制度委員会(奥正之委員長)を開催した。委員会では、経済産業省の石黒憲彦審議官、浜辺哲也産業資金課長、飯田祐二産業再生課長を招き、産業活力の再生及び産業活動の確認に関する特別措置法(以下、産活法)の改正のポイントについて聴いた。経産省の説明の概要は以下のとおり。

今回の産活法改正は、昨今の世界的な金融危機や、資源制約の高まりに対応して新たな措置を追加するもので、4月22日に成立した。産活法は平成11年に制定して以来、事業の「選択と集中」の促進等に向けて2度にわたり法改正が行われており、今回で3回目となる。

改正の主なポイントは、(1)「資源生産性革新計画」および「資源節約対応製品生産設備導入計画」を通じた資源生産性の向上支援(2)産業革新機構によるオープンイノベーションへの投資(3)危機対応業務における指定金融機関による民間企業への出資に対する日本政策金融公庫の損失補てんなど、円滑な資金供給の実施(4)「中小企業承継事業再生計画」による中小企業の再生のさらなる円滑化――の4点である。

第一に、企業または一定の事業所(年間エネルギー使用量が原油換算3000キロリットル以上)が3年以内にエネルギー生産性4%以上、炭素生産性5%以上の目標数値をクリアする「資源生産性革新計画」を作成し、所管大臣の認定を受けた場合、登録免許税や不動産取得税の軽減、設備投資額の特別償却(平成23年3月末まで即時償却、同24年3月末まで設備30%、建物15%の特別償却)といった税制支援を受けられる。

具体例としては、工場における最新の省エネ設備の導入や、子会社の合併による設備の集約と共同廃棄等の取り組みが考えられる。また、事業法の許認可のみなし取得特例、会社法、民法における特例措置、および各種金融支援を受けることができる。

また、「資源節約対応製品生産設備導入計画」は、「トップランナー基準対象商品」「新エネルギー設備」「革新的なエネルギー高度利用技術を活用した設備」など社会の資源生産性を向上する製品を製造するための設備投資を支援するものである。認定を受ければ設備投資に対する支援措置(平成23年3月末まで即時償却、同24年3月末までが30%の特別償却)や金融面での支援措置を利用することができる。

第二に、産業革新機構は、さまざまな企業や大学、研究機関に分散した技術やノウハウ、人材等を組み合わせ、新たな価値を創出する事業活動に対する投資を行うものであり、現在設立に向けて詰めの検討が行われている。平成21年度当初の予算で400億円、同補正予算で420億円の国による出資が既に決定しているほか、8000億円の政府保証を付与する改正案が国会で審議中である。直接の出資やファンドオブファンズ等のスキームを通じ、環境エネルギーやライフサイエンスなど、今後高い成長が見込まれる分野の有望な取り組みに対し、事業規模を問わず投資を行っていく。

第三は、企業に対する円滑な資金の供給である。そのひとつが、日本政策投資銀行等の指定金融機関が、金融危機により一時的に財務状況が悪化した企業に対して行う出資について、日本政策金融公庫が損失補てんを行うことで、企業に対する円滑な供給を可能とするものである。(1)売上高の減少(四半期で前年同期比20%以上)(2)コベナンツ条項に抵触または自己資本の減少(前年比25%以上)(3)国内雇用5000人以上(連結ベース)(4)民間金融機関の協調融資等の要件を満たした上で、所管大臣による産活法上の各計画(事業再構築計画、経営資源再活用計画、経営資源融合計画、資源生産性革新計画)の認定を受けること――で、支援措置を利用することが可能となる。

第四に、中小企業の再生のさらなる円滑化を図る視点から、事業譲渡や会社分割によって中小企業の優良な事業部門を存続させる、第二会社方式による再生を支援する「中小企業承継事業再生計画」の認定制度を創設した。これにより、事業に係る許認可の円滑な承継、税負担の軽減、金融面での支援措置を受けることが可能となる。

【経済基盤本部】
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