日本経団連タイムス No.2966 (2009年9月10日)

第9回全労委使用者委員研修会を開催

−69名が参加、東京で


全国労働委員会使用者委員連絡会議(代表幹事=手塚和昌・中央労働委員会使用者委員)が主催する使用者委員研修会が3日、4日の2日間にわたり、東京・大手町の経団連会館で開かれ、全国から69名の使用者委員が参加した。

同会議は、労働委員会の運営に関するさまざまな課題について、使用者側委員としての対応協議や相互研鑽、専門能力の向上などを目的として、2000年に発足した全国の使用者委員を会員とする組織であり、日本経団連は事務局として発足当初から活動を支援している。同研修は、その活動の一環として開催され、今回が9回目となる。

研修会1日目は手塚代表幹事のあいさつに続き、前中央労働委員会会長の山口浩一郎氏(上智大学名誉教授)が「公益委員から使用者委員へ望むこと」と題し、労働委員会の仕事や、公益委員は使用者委員とどのように連携を図り、実務に当たっているのかなどについて、自身の豊富な経験と具体例を交えながら講演を行った。特に使用者委員には、紛争解決にあたり企業における労使関係や慣行について助言をもらえれば大変ありがたいと要望した。続いて、中央労働委員会事務局長の松井一實氏が「使用者委員に期待すること」と題し、労働委員会の歴史や現状と課題、今後の動向について講演を行い、課題となっている労働委員会の活性化について、問題点に気づいた際は分析・検証し、活性化につなげてもらいたいなど使用者委員に対する期待を述べた。1日目の最後は、法政大学大学院教授の諏訪康雄氏が「日本の労働政策、労働法制の今後の展望」と題し、日本の労働政策や労働法の基本理念と法体系の現状と課題について講演し、労働人口が減少する中、今後、人的資源の高度化を図るためにはキャリア形成支援が欠かせないと強調した。

2日目は、弁護士の中山慈夫氏が「労働委員会制度の概要‐労組法・労働委員会規則の解説」と題し、労働委員会制度の意義と役割、不当労働行為の類型や審査手続きなどについて労働組合法・労働委員会規則の条文を用いて解説。子会社の従業員や組合に対して、親会社は団体交渉義務を負うケースがあるなど、最近の判例や弁護士としての経験に基づき法的留意点について講演を行った。

研修会の締めくくりとして、手塚代表幹事から「使用者委員に求められる役割」と題し、中央労働委員会の現役使用者委員の立場から、自身が実際に処理した紛争に対する和解の成功例や苦労話を交えた講演を行い、研修会は盛況のうちに幕を閉じた。

受講後には、「使用者委員のレベルアップにつながるこのような教育や研修を多く開催してほしい」といった声が数多く寄せられたほか、「具体例を用いたケーススタディや委員同士が意見交換できる場の設置」など、実務能力向上をめざした前向きな意見が寄せられた。

【労働法制本部】
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