日本経団連タイムス No.2969 (2009年10月8日)

長期エネルギー需給見通し(再計算)について意見交換

−資源・エネルギー対策委員会企画部会


政府の総合資源エネルギー調査会需給部会では昨年5月、「長期エネルギー需給見通し」を取りまとめたが、今年6月の中期目標(2020年に2005年比で15%の温室効果ガス削減)の総理発表を受け、「長期エネルギー需給見通し」について再計算を行うとともに、具体的な削減策についても再検討を行った。

そこで日本経団連では、資源・エネルギー対策委員会企画部会(渡辺康之部会長)等を案内先として9月18日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催、資源エネルギー庁の石崎隆エネルギー政策企画室長から、「長期エネルギー需給見通し(再計算)」について説明を受けるとともに、意見交換を行った。石崎室長の説明の概要は次のとおり。

長期エネルギー需給見通し(再計算)は、わが国の経済成長率を、2005〜2020年を1.3%、2020〜2030年を1.2%とし、原油価格を、2020年に1バレル121米ドル、2030年に1バレル169米ドルと想定している。そのうえで、高コストではあるが、省エネ性能の格段の向上が見込まれる最先端の機器・設備を、国民や企業に対して、更新を法的に強制する一歩手前の政策を講じ、最大限普及させることにより、劇的な改善を実現するケースを想定した。その結果、2020年の温室効果ガス排出量は、05年比マイナス15%となる。

2020年の電源構成は、現在(05年)、発電電力量の31%を占める原子力発電について、9基増設し、設備利用率を約80%に上げることにより、発電量の42%まで引き上げることとしている。また、太陽光発電について、2020年に05年の20倍、風力発電について、同4.5倍導入し、ほかの新エネルギーも合わせた新エネルギー発電量の割合は、05年の0.1%から2020年に5.5%を想定している。

その他の対策として、次世代自動車の普及率を05年の1%から2020年に50%に、有機EL・LED照明の普及率を同0%から同14%に、省エネIT機器の普及率を同0%から同100%とするとしている。また、高効率給湯器を、単身世帯を除く全世帯の8割以上に普及し、ビル等非住宅・住宅の新築の8割が最も厳しい省エネ基準(平成11年基準)を満たすこととしている。経済社会への影響については、2020年に05年比15%削減する場合の家計の負担は、年間7万7千円と試算された。

【環境本部】
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