日本経団連タイムス No.2970 (2009年10月15日)

直嶋経産相はじめ経産省幹部と懇談

−成長戦略、税制、温暖化、通商など



あいさつする直嶋経産相

日本経団連(御手洗冨士夫会長)は7日、東京・大手町の経団連会館で、経済産業省幹部との懇談会を開催した。懇談会には、経産省から直嶋正行経済産業大臣、増子輝彦経済産業副大臣、高橋千秋大臣政務官、近藤洋介大臣政務官らが、日本経団連から御手洗会長、米倉弘昌評議員会議長、副会長らが出席した。

冒頭、あいさつした御手洗会長は、産業競争力の維持・強化に向けた成長戦略の重要性に言及、「わが国の企業が、国内に事業基盤を残しつつ、イノベーションを推進し、事業活動によって得られた利益を国民に還元していくためには、厳しい国際競争に耐え得る事業環境の整備が必要」と指摘し、成長戦略および重要課題に取り組む包括的ビジョンの策定と、その実現に向けた直嶋大臣のリーダーシップに期待を示した。

続いてあいさつした直嶋大臣は、「わが国が今後、持続的に成長していくための新たな成長戦略の構築に向け、検討を開始している。新しい内需を創造し、経済をけん引して雇用を生み出す成長産業を明らかにすることを通して、日本のあるべき産業構造のビジョンを描いていきたい」と表明。(1)アジア等の新興国の成長を取り込んでいく(2)地球温暖化対策をチャンスととらえ、産業競争力強化につなげる(3)技術、人材といったわが国の強みを活用する――という3つの視点から検討していくと述べた。

■ 意見交換

意見交換では、日本経団連側から、「成長戦略を支える基盤として、規制改革推進体制の整備や独禁法等の企業活動に関する法整備、資源・エネルギーの安定確保に向けた体制の強化に政府横断的に取り組んでほしい」(渡文明副会長)、「税制抜本改革の取り組みとともに、研究開発促進税制の拡充、タックスヘイブン対策税制等の国際課税の見直しなど、早期の景気回復と経済活性化に資する税制措置の実現を望む」(渡辺捷昭副会長)、「温暖化対策のカギを握る技術の開発・普及を促すとともに、国民負担や国際競争力への配慮、主要排出国の参加も含め公平性を担保した国際枠組みが必要」(清水正孝副会長)、「WTOドーハラウンドの早期妥結とともに、東アジア経済共同体を視野に、ASEAN+6をベースとした地域経済統合の推進や、EUとの『経済統合協定』の構築が重要」(大橋洋治副会長)などの発言があった。

これに対し、直嶋大臣は、「人口減少社会のなかで日本経済が成長していくためには、新しい産業や技術を確立し、より付加価値を高めていくことが必要。効果的な規制改革や法整備、資源外交に積極的に取り組んでいく」「税制についての基本的な考え方は(日本経団連と)一致している。広く国民の声を聞き、政府税調の議論に反映したい」「中期目標は、主要排出国がきちんと参加し、公平で実効的な目標を共有するための国際的な枠組みを構築したうえで、実現に向けた検討をしていきたい」「ドーハラウンドは、各国の通商担当大臣に働きかけぜひ合意を目指したい。EPAにもさらにしっかり取り組んでいく」とコメントした。

【産業政策本部】
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