日本経団連タイムス No.2971 (2009年10月22日)

第45回日本経団連洋上研修団が帰国

−「強い組織・熱い職場をつくる」テーマに学ぶ



船内ではグループ別研修が行われた

第45回日本経団連洋上研修団の一行が12日、8日間の日程を終え帰国した。「強い組織・熱い職場をつくる」を総合テーマとして、横浜と仁川(韓国)往復のコースで実施した今回は、日本全国の企業・団体から管理・監督者140人が参加した。船内研修で参加者は、設定したテーマのもとに熱心な討議を重ね、短期・中長期の行動計画を策定するとともに、寄港地韓国では企業や団体を訪問し、活気ある韓国の実情を視察した。

船内研修で140人の参加者は4つの班に分かれ、さらに5〜6人のグループで研修を実施。各班には、教育・研修に通じた企業のコーディネーターが付き、討議方法などを指導した。討議は、各自が持ち寄った職場で直面している課題をKJ法により集約するところからスタートし、グループの討議テーマを設定。次に、そのテーマに関する状況分析を外部環境、内部環境の両面から行った。ここで、改めて討議テーマの今日的な意義や価値について検討、整理し、その主旨をシートに書き込む。この段階でグループごとに、テーマ設定にいたる討議経過を班内で発表し、相互に評価し研修前半を終了した。

後半は、まず討議テーマに関して、職場の「あるべき姿」とは、それに対して職場の「いまの姿」はどのような状態かについて分析を行い、理想と現実のギャップを明らかにし、そのために克服すべき課題を考える。そして、自分たちが今後、職場の管理・監督者としてどう行動すべきか、アクションプランを短期・中長期の観点からまとめ、再度、班内発表会を開き、投票によって研修報告会で発表する代表グループを決定した。

研修報告会では各班代表の4つのグループが、討議過程で作成したシートを使って全団員の前で発表を行った。班代表に選ばれた4グループの討議テーマは、「部下のやる気を引き出す職場づくり」「コミュニケーションの活性化による部下の育成」「新しい仕事・課題・やり方に挑戦し続ける職場をつくる」「変化に対応できる次世代リーダーのための職場づくり」。他のグループでも人材育成、若手社員の育成、若手への技術伝承、職場コミュニケーションのあり方、目標とされる管理者のあり方などがテーマとして多く取り上げられた。

課題研修に次いで多くの時間を割いているのが、アドバイザーや講師による講義。守島基博・一橋大学大学院教授、野田稔・明治大学大学院教授の両アドバイザーと柿内幸夫・改善コンサルタントによるマネジメント講座や管理者、監督者に分かれたコース別講座、また、仁川から乗船した立石信雄名誉団長(オムロン相談役)による「変革時代の企業経営」と題した特別講演や、任意参加の韓国語会話講座、星座教室などが行われた。

寄港地韓国では、東和企業(現地企業、木材ボード生産)、富士ゼロックス・コリア、仁川国際空港、IFEZ(アイフェズ、大規模都市開発計画)の4企業・団体に分かれて訪問。概要説明や工場・現場見学、質疑応答などを通じて、活気ある韓国の実情を視察した。

韓国ではそのほか、任意参加のオプショナルツアーで慶州や済州島などの観光も実施、多くの団員が天候に恵まれた韓国の秋を満喫した。

研修最終日には船内で修了式を行い、鈴木正人団長(日本経団連事業サービス常務理事)が団員一人ひとりに修了証書を授与し、すべての課題を終了した。

研修を終えて団員からは、「多くの業種・業態のメンバーと知り合えたことを宝としたい」「乗船時の自分と下船時の自分が違っている」「名誉団長の姿勢そのものからリーダーシップのあり方を学ぶことができた」などの声とともに、「タイトなスケジュールで自由時間がもう少しほしい」「講師の話をもっと聞きたかった」などの意見も上がった。

横浜出港時には台風の影響も懸念されたが、船酔いをする団員も少なく、研修への集中度が高まるとともに、企業の枠を超えた団員同士の交流も深まった研修となった。

◇◇◇

洋上研修に関する問い合わせは日本経団連事業サービス(電話03‐6741‐0042)まで。

【日本経団連事業サービス】
Copyright © Nippon Keidanren