日本経団連タイムス No.2975 (2009年11月19日)

日・EU経済統合協定交渉の開始求める

−日・EU EPAに関する第三次提言を公表


日本経団連は17日、「日・EU経済統合協定交渉の開始を求める‐日・EU EPAに関する第三次提言」を公表した。わが国経済の自律的な回復と成長にとって、自由な貿易・投資環境を確保し世界経済のダイナミズムを取り込むことは不可欠である。人口減少時代にあって、その重要性はますます高まるものと想定される。こうした観点から、世界最大の単一市場であるEUとの経済関係を強化することは、わが国にとって喫緊の課題である。提言の概要は次のとおり。

■ 急がれる日・EU経済統合強化のための枠組みづくり

今年5月に、経済統合の強化に向けて特定の非関税案件に焦点を当てて取り組み、来年の首脳協議までに進捗をレビューすることで日・EUの首脳が合意したことは望ましい方向への適切な第一歩であるが、半年を経てもなお、具体的な案件が決定されていないのが現状である。また、先般EU・韓国自由貿易協定(FTA)が仮署名され、来年中には発効の見込みとなった。これによって韓国製乗用車やエレクトロニクス製品に対するEUの二ケタ関税が発効後5年以内に撤廃されることになり、わが国企業はEU市場において韓国企業に比べ、競争上極めて不利な状況に置かれるものと予想される。
以上のような背景から、日・EU経済統合強化のための取り組みを加速することが不可欠であるとしている。

■ 新たな枠組みとしての「日・EU経済統合協定」

そこで、関税・非関税双方の障壁を引き下げることによって経済統合を強化するための新たな枠組みを「経済統合協定」として、そのアウトラインを提示、来年の日・EU首脳協議後、できる限り速やかに交渉開始できるよう準備を進めるべきと訴えている。協定が備えるべき内容として、他国企業に劣後しない事業環境の確保、関税以外の障壁を含め経済的に国境のない環境の整備、透明性の高い自由で安定的な事業環境の実現などを指摘するとともに、今回の提言が契機となって交渉開始に向けた動きが活発化することを期待するとしている。

■ わが国の通商戦略と日・EU経済関係

WTOドーハ・ラウンドの早期妥結とEPA等の締結とを自由な貿易・投資促進の車の両輪として推進するという、わが国通商戦略の着実な実行は、EUとの関係においても重要であると指摘するとともに、EU加盟国との租税条約や社会保障協定の改正・締結を推進するよう提言している。

■ 経済統合協定のアウトライン

鉱工業品の関税については、センシティビティーの高い品目についても速やかに撤廃するよう求めるとともに、関税分類等の変更やアンチダンピング等の貿易救済措置について、事前協議の仕組みを設けるよう提言している。また、医療機器、自動車、建設材料等に関する規格の調和や相互承認を推進するよう提言するとともに、企業内転勤などビジネス上の移動について簡便な手続きを適用することも求めている。さらに、わが国の政府調達について、地方政府の入札情報を含めたアクセスポイントの一元化の必要性などを指摘している。

【国際経済本部】
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