日本経団連タイムス No.2976 (2009年11月26日)

北陸地方経済懇談会を福井で開催

−社会保障制度、少子化対策や地方分権・道州制など意見交換


日本経団連(御手洗冨士夫会長)と北陸経済連合会(北経連、新木富士雄会長)は10日、福井市内のホテルで第36回北陸地方経済懇談会を開催した。懇談会には、日本経団連から御手洗会長、渡文明副会長、前田晃伸副会長、大橋洋治副会長、西田厚聰副会長が、北経連からは新木会長をはじめ会員約90名が参加、「経済の安定成長を目指した新たな国づくり・地域づくり」をテーマに意見を交換した。


あいさつする御手洗会長

開会あいさつのなかで北経連の新木会長は、北陸経済について、輸出・生産などに一部持ち直しの動きが見られるが、依然として厳しい状況にあるとの認識を示し、現在の厳しい経済情勢を克服し、経済の安定成長を目指すには、地域が強みを生かして自立し、地方と国が支えあって「強い国」をつくることが必要と指摘。北陸圏の将来像を「世界に開かれた日本海側における交流の中枢拠点」とする「北陸圏広域地方計画」の意義を説明するとともに、北陸三県の一体的な発展につながる北陸新幹線の福井延伸に理解と協力を求めた。

続いてあいさつした日本経団連の御手洗会長は、鳩山新内閣に対し、経済危機からの脱却と民主導の成長力強化策の推進をはじめ、社会保障制度改革、税制抜本改革、財政健全化、ポスト京都議定書への全主要排出国の参加の実現などを建議したことを説明。要望の実現に向け、各大臣との懇談会などの機会において、重要諸課題に対する経済界の考え方を説明することを通じて、新政権に理解を求めていることを紹介した。

■ 活動報告

第1部の活動報告では、日本経団連側から、渡副会長が「税制改正への取組み」、大橋副会長が「アジアの経済成長戦略について」について報告した。

一方、北経連側からは、まず川田達男副会長が、北陸地域経済の発展のために、北陸新幹線の整備が不可欠であるとし、日本経団連に理解を求めるとともに、舞鶴若狭自動車道、中部縦貫自動車道、能越自動車道の早期全線開通の必要性や「北陸・韓国経済交流会議」の活動状況について説明。

次に深山彬副会長が、北陸地域の自立と持続的な発展のために、地域産業の振興に向けた取り組みが必要との認識を示し、北経連の活動として、産業クラスターの形成などを通じ、新技術・新産業創出や産業の活性化を進めていることを報告。

続いて犬島伸一郎副会長が、地方分権型社会システムの構築について報告。国の役割を国民に明確に示したうえで、地域に任せる行政サービスは、地域が主体的に意思決定できるようにすることが道州制の成否を握る重要なポイントであると指摘。また、北陸の住民を対象に実施した「道州制に関するアンケート調査」によると、道州制に対する地域の理解が進んでいない状況がうかがえることから、引き続き道州制の理念、メリット・デメリット等を積極的に国民に提示し、国民的議論の醸成に努めることが重要であるとの認識を示した。

■ 意見交換

第2部の意見交換では、北経連から、(1)広域交通ネットワークの整備促進(2)持続可能な社会保障制度の確立(3)地球温暖化対策(4)少子化問題(5)雇用の安定と創出(6)地方分権・道州制の推進――の6点について質問があった。

これに対して日本経団連は、(1)国際競争力の強化を図るために、北陸新幹線や高規格幹線道路などのハード面の整備を完成させることが重要(渡副会長)(2)持続可能な社会保障制度の構築と持続的な経済成長は表裏一体であることを指摘。税・財政・社会保障の一体改革や給付と負担の両面からの改革が必要(前田副会長)(3)わが国産業の実態を踏まえた、客観的かつ合理的な分析に基づく、CO2排出量削減の具体的道筋や家計への負担を明らかにすることが重要(西田副会長)(4)早急かつ集中的な少子化対策の実行とともに、企業のワーク・ライフ・バランス推進と、子育てを社会全体で支えあう気運醸成が重要(前田副会長)(5)雇用のセーフティネットの強化を図るとともに、円滑な労働移動を可能とする環境づくりが重要(大橋副会長)(6)道州制の導入を検討する際は、地域の考えを新たな制度に盛り込んで行くことが重要(西田副会長)――と発言した。

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清川メッキ工業を視察


清川メッキ工業を視察、説明を聞く御手洗会長
(左へ新木北経連会長、清川社長)

懇談会に先立ち日本経団連首脳は、ナノクラスの接合めっき技術を有するトップランナーとして、電子部品の製造分野を中核に躍進を遂げ、めっき産業の環境配慮型産業への転換を図っている清川メッキ工業(本社=福井市)を視察し、清川忠社長ら経営陣との意見交換を行った。


【総務本部】
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