日本経団連タイムス No.2977 (2009年12月3日)

ポスト京都議定書の国連気候変動枠組条約交渉について説明聞く

−経済産業省の有馬審議官から/環境安全委員会・地球環境部会合同会合開催


日本経団連の環境安全委員会(坂根正弘委員長)および地球環境部会(猪野博行部会長)は11月11日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催した。当日は、有馬純経済産業省大臣官房審議官から、11月2〜6日の日程で、スペインのバルセロナで開催された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)交渉の作業部会の模様および、今月7〜18日の日程で、デンマークのコペンハーゲンで開催される同条約第15回締約国会議(COP15)の展望について説明を受けるとともに、意見交換を行った。有馬審議官の説明概要は次のとおり。

■ バルセロナ作業部会の模様

京都議定書に代わる新たな議定書を議論している作業部会(AWG‐LCA)においては、途上国の削減行動の法的性格、すべての国の削減約束・行動の規定の仕方等をめぐる、先進国・途上国間の対立が続いている。

資金・技術については、わが国から、鳩山イニシアティブの具体化に向けた提案を行い、交渉テキストに取り入れられた。

京都議定書を延長することを前提に京都議定書のもとでの先進国の新たな義務を議論している作業部会(AWG‐KP)においては、先進国の削減目標の内訳(国内削減、柔軟性メカニズム等)や目標の規模等に関する、先進国と途上国間の溝が埋まらず、結論文書の作成には至らなかった。

結局、バルセロナ作業部会においては、これまでの対立点のうち、意見の収斂が見られたものは一つもなかった。

■ COP15の展望

10月下旬にラスムセン・デンマーク首相およびデ・ボアUNFCCC事務局長から発言があったように、COP15では政治合意が目指されているが、政治合意も依然として高いハードルである。特に、米国が数値目標を提示できるか否かが一つの焦点であり、それは中国の動向に大きな影響を与える(23日、米国は数値目標を提示する方針を明らかにした)。今後は、政治合意の内容について水面下でハイレベルな議論が進むと予想される。

【環境本部】
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