日本経団連タイムス No.2979 (2010年1月1日)

「日本経団連低炭素社会実行計画」公表

−環境と経済の調和する低炭素社会の実現へ世界をリードすることを宣言


日本経団連は12月15日、2013年以降のポスト京都議定書における産業界の取り組みとして、「日本経団連低炭素社会実行計画」を取りまとめ、公表した。その概要は次のとおり。

■ 基本的考え

日本経団連では、京都議定書が採択される前の1997年6月から自主行動計画を策定し、産業・エネルギー部門を中心に温暖化対策に取り組んできた。この結果、家庭・業務部門の排出量が90年度比で4割程度増加するなか、産業部門の排出量は1割以上減少するなど、大きな成果を上げている。
しかし、地球全体の温室効果ガスは増加の一途をたどっており、温暖化は、世界経済の持続的発展に対する脅威となっている。
こうしたなか、日本経団連は、現在の自主行動計画に続く新たな計画として、「低炭素社会実行計画」を策定し推進していく。具体的には、「2050年における世界の温室効果ガスの排出量の半減目標の達成に日本の産業界が技術力で中核的役割を果たすこと」を共通のビジョンとして掲げ、これまでに培った世界最高水準の優れた技術力をさらに強化し、問題解決に積極的に貢献していく。
このため、2020年まで、国内においては、最先端の技術の最大限の導入などを通じ、事業活動や国民生活などから排出されるCO2を最大限削減する。また、海外においては、温暖化防止に向けた意欲ある取り組みを積極的に支援する。同時に、「2050年半減」のためのブレークスルーとなる革新的技術を戦略的に開発する。

■ 計画の特色

この実行計画の特色は、第一に、主に製造工程に焦点を当てた現行の自主行動計画と異なり、製品の使用段階にも着目し、ライフ・サイクル全体でCO2を削減することを重視していることである。
あわせて、地球温暖化が中長期のグローバルな課題であるとの認識のもと、国内対策のみならず、国際貢献や革新的技術開発などを含む包括的なパッケージとしている。
第二に、参加業種は、利用可能な最先端の技術の最大限の導入などを前提に2020年までの目標を設定するとともに、同目標が実行可能な最大限の水準であることを自ら対外的に説明することを求めている。
第三の特色は、目標達成の確実性を担保する手段の検討である。これによって、法的規制がなくても目標を達成するという信頼性が高まることが期待される。
最後に、政府などの協力も得て、PDCAサイクルを推進し、適切なフォローアップを行っていくこととしている。

【環境本部】
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