日本経団連タイムス No.2979 (2010年1月1日)

岡田外相との懇談会を開催

−WTO・EPAや対アジア政策などをめぐり意見交換


日本経団連は12月16日、東京・大手町の経団連会館で岡田克也外務大臣との懇談会を開催した。懇談会には、外務省から岡田大臣、武正公一副大臣、吉良州司大臣政務官、西村智奈美大臣政務官ら幹部が、日本経団連からは御手洗冨士夫会長、米倉弘昌評議員会議長、副会長らが出席した。

■ 御手洗会長、岡田大臣あいさつ

あいさつする岡田外相

冒頭、御手洗会長は、「一刻も早く民間主導による自律的な回復と成長を実現することがわが国経済の当面の課題」としたうえで、「人口減少が進むなか、米国はもちろん、世界最大の単一市場であるEU、成長著しいアジアや新興国との貿易・投資関係を強化し、世界のダイナミズムを取り込んでいくことは極めて重要」と指摘するとともに、「金融・経済危機を経て各国が新たな成長モデルを模索する今が、各国と新たな経済関係、協力関係の枠組みを話し合う好機であり、経済外交の真価が問われている」と述べた。

続いて岡田大臣は、まず「わが国が中長期的に経済成長していくためには、アジアが極めて重要」として、日本企業の経営のもと、若い労働者が働く活力に満ちたアジアの工場を例に、「日本の経営力とアジアの若い力をうまく組み合わせ、Win‐Winの関係が実現できるような枠組みをつくっていかなければならない」と述べた。また、外務省が中心となってEPA・WTO閣僚委員会を設置したことを紹介し、「政治主導でEPA、WTOを進めていく。アジアのみならず各国との経済連携を深め、わが国経済の一層の発展に向けて尽力したい」との決意を示した。

■ 意見交換

意見交換では、日本経団連側から、佐々木副会長が、WTOドーハ・ラウンドの早期妥結を訴え、これ以上の先送りは、日本はもちろんのこと、世界経済にとっても大きな損失であると発言した。次に大橋副会長が、ASEAN+6をベースとした地域経済統合の推進の必要性を指摘するとともに、当面の課題として、韓国、インド、豪州、GCC(湾岸協力会議)とのEPA・FTA交渉の早期妥結、日中韓FTAの着実な推進を求めた。また、米国、EUとのEPAも不可欠であるとし、特にEUについては、韓・EUFTAの発効を控え、取り組みの加速を求めた。

槍田副会長からは、先の日本経団連ASEANミッションを踏まえ、アジアの広域インフラ整備のためのODA予算の拡充や、JICA(国際協力機構)の海外投融資の再開と活用、債券市場の整備に対する支援などを要望した。また、来年のAPEC(アジア太平洋経済協力)議長国として、アジア・太平洋地域の持続可能な発展に日本がリーダーシップを発揮するよう要請した。

これらの発言に対し、岡田大臣は、「韓国にこれ以上後れを取らぬようEPAに取り組みたい。『アジア内需』の拡大に向け、ASEAN地域のインフラ整備に力を入れる。経団連の意見も参考にしながら進めたい」などと応じた。

【国際経済本部】
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