日本経団連タイムス No.2979 (2010年1月1日)

電子行政推進シンポジウム「ICTの利活用による新たな政府の構築に向けて」を開催

−企業トップら450名参加


日本経団連は12月8日、東京・大手町の経団連会館で電子行政推進シンポジウムを開催、企業トップをはじめとする企業関係者、政府や地方自治体関係者、経済広報センターの広聴会員など幅広い分野から約450名が参加した。

冒頭あいさつした御手洗冨士夫会長は、改革を進め、透明で効率的な行政を実現するうえで電子行政の推進が欠かせないと強調し、電子行政の実現に向けた政治の実行力・指導力の発揮に対する期待を改めて表明した。

続いて原口総務大臣の代理としてあいさつした長谷川憲正総務大臣政務官は、「もはや電子行政は時間をかけて検討している段階ではない。総務省と経団連のタスクフォースの場などを通じて早急に進むべき方向を決め、あとは実現に向かって突撃するのみである」と述べた。

ICT(情報通信技術)利活用の必要性を強調−渡辺副会長説明

渡辺副会長

渡辺捷昭副会長は、日本経団連提言「ICTの利活用による新たな政府の構築に向けて」に基づき、行政の情報連携による行政効率化、国民の利便性向上の具体例を挙げて、ICT利活用の必要性を強調した。あわせて、各省庁や地方自治体を通じた電子行政の全体最適化、行政文書・手続きの原則電子化・オンライン化をはじめとする電子行政推進に必要な5原則を示すとともに、(1)業務改革・標準化の推進(2)電子行政推進担当大臣(行政CIO)の明確化と電子行政推進体制の整備(3)税・社会保障制度共通の番号制度の導入――の3つの施策に早急に取り組むことを求めた。また、ICTに関する国家戦略の立案・遂行の重要性を指摘するとともに、総務省と日本経団連の電子行政タスクフォースに対する期待を表明した。


共通番号なくして電子行政はあり得ない−パネルディスカッション

パネルディスカッションには、津村啓介内閣府大臣政務官、秋草直之電子行政推進委員長、木下敏之前佐賀市長、野村敦子日本総合研究所主任研究員が出席し、遠藤紘一電子行政推進部会長がモデレーターを務めた。

まず、電子行政の現状については「データ連携が行われていないため、膨大な無駄が生じている」「国民目線が不足している」「企業の事務のコストダウンが進まない」「IT戦略本部が総合調整機能を果たしてこなかった」「国民番号なくして電子行政はあり得ない」などの指摘があった。

電子行政の実現により、「ICTを使って政策に関する住民の意見を直接聞ける」「情報公開と結び付き、国民と行政の接点が広がる」「企業や行政の無駄のかなりの部分が解消される」「防災対策や政策メッセージを国民に直接伝えられる」などとの期待が表明された。

電子行政実現のためには、「納税者番号、社会保障番号、住民票コードを結び付け、国民番号を実現する」「地方自治体ごとにバラバラの書類の様式を統一する」「全権を持った行政CIOが推進する」ことが必要との意見が出された。

最後に、清田瞭情報通信委員会共同委員長が「本日の参加者一人ひとりが電子行政のメリットを享受する最大の関係者である。日本の将来のために、電子行政の実現を求める声を上げていただきたい」と締めくくりのあいさつをした。

【産業技術本部】
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