日本経団連タイムス No.2980 (2010年1月14日)

3大臣から新卒者採用で要請受ける

−「雇用に関する経済4団体との会合」


「雇用に関する経済4団体との会合」が12月22日、都内のホテルで開催され、経済四団体に対し、直嶋正行経済産業大臣、川端達夫文部科学大臣、長妻昭厚生労働大臣から「新規学校卒業者の採用」に関する要請が行われた。会合には日本経団連の御手洗冨士夫会長のほか、日本商工会議所の岡村正会頭、全国商工会連合会の石澤義文会長、全国中小企業団体中央会の鶴田欣也会長が出席し、新卒者の採用や経済対策について意見交換を行った。

冒頭、直嶋大臣は新卒者の厳しい就職情勢に触れつつ、政府の支援策として、採用意欲のある中小企業の掘り起こしや、学生とのマッチングを図るインターンシップ制度などを紹介し、第二のロストジェネレーションをつくらないよう産業界に対し協力を要請した。

これに対し、御手洗会長は、将来を担う新卒者に多くの就業機会を与えていく重要性に鑑み、採用機会の拡大、内定取り消しの回避などについて、会員企業へ呼びかけていきたいと述べた。あわせて、新規採用を増やすためには、何より景気の自律的回復が不可欠であることを強調、経済危機の早期脱却に向けた政府の取り組みを求めた。

また、政府が12月8日に取りまとめた経済対策について、即効性、継続性を評価しながらも、中長期的な成長戦略なくして持続的成長の実現はないとして、需要の創出や雇用の拡大に資する施策の推進を訴えた。

三大臣による要請の全文は次のとおり。

新規学校卒業者の採用に関する要請書

我が国の経済は、最悪期は脱したものの、経済成長の基盤が脆弱であるなど厳しい状況にあり、特に、雇用失業情勢については過去最悪の水準で推移しています。こうした中、国民が抱える不安に対応し、政府を挙げて雇用の確保に取り組むため、本年10月23日には、緊急雇用対策本部(本部長=内閣総理大臣)において、「緊急雇用対策」をとりまとめ、同本部における議論も踏まえ、同年12月8日には、「明日の安心と成長のための緊急経済対策」をとりまとめたところです。

平成22年3月卒業予定の新規学校卒業者をめぐる就職環境についても、厳しい状況になることが予想され、仮に就職未決定のまま卒業を迎える者が多数にのぼるとすれば、本人にとって若年期に就業を通じた知識・技能の蓄積が図れず、将来のキャリア形成の支障となるとともに、我が国の産業や社会を支える人材の育成が図られないなど深刻な問題を惹起しかねません。

政府としても、大学等の「就職相談員」の配置促進やキャリアガイダンスの推進、「高卒・大卒就職ジョブサポーター」の更なる緊急増員等を行うとともに、インターンシップの拡充や採用意欲のある中小企業等の掘り起こしにより、関係機関が連携して新規学校卒業者の就職支援体制の強化に取り組んでいるところです。こうしたことにより、1人でも多くの新規学校卒業者の就職が実現するように努めてまいる所存です。

産業界の皆さまにおかれましても、非常に厳しい経済情勢の中ではありますが、将来にわたる日本経済の競争力・生産性の向上を図るため、こうした取組に御理解をいただき、新規学校卒業者のための採用の拡大に向けた努力をお願いする次第です。また、採用内定取消しについても、これが起こることのないよう、併せてお願い申し上げます。

貴団体におかれましては、私どもの要請に、何卒、深い御理解を賜り、傘下団体及び事業主の皆さまにこの趣旨を徹底していただきたく、御協力をお願い申し上げます。

【労働政策本部】
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