日本経団連タイムス No.2986 (2010年2月25日)

「日本経団連低炭素社会実行計画」説明会を開催

−オフィスビルのCO2削減策聞く/日本ビルヂング協会連合会から


日本経団連は昨年12月15日、ポスト京都議定書における新たな行動計画として、「日本経団連低炭素社会実行計画」の基本方針を取りまとめ、公表した。この基本方針では、「参加業種は、生産活動、サービスの提供、業務、輸送などの分野において、各業種のエネルギー効率の国際比較、設備の新設・更新時などにおけるBAT(利用可能な最先端の技術)の最大限の導入などを前提として、2020年のCO2削減の数値目標を設定する」こととしており、業務分野における取り組みが重要な柱の一つとなっている。

そこで日本経団連は9日、東京・大手町の経団連会館で、産業部門を含む全業種を対象とした同計画の説明会を開催するとともに、日本ビルヂング協会連合会(以下、ビル協)の岡本圭司常務理事からオフィスビルのCO2削減策について聞いた。

岡本常務理事の説明概要は次のとおり。

■ ビルエネルギー運用管理ガイドライン

優良なビル事業者1389社で構成されるビル協では、地球温暖化対策の促進に向けた共通の指針である「ビルエネルギー運用管理ガイドライン」を08年6月に策定以来、業界の自主的な取り組みを進めている。同ガイドラインは、(1)CO2削減対策の意義とビルオーナーが着眼すべき5つのポイント(2)費用対効果を考慮した100の対策メニュー(3)テナントとの協働による対策(4)エネルギー管理システムの構築(5)実在するビルでのシミュレーションの提示――などにより構成されており、実施状況を随時確認するとともに、自社ビル対策としての活用もPRしている。

■ 5つのポイント

オフィスビルのCO2削減にあたっては、5つのポイントに着目することが重要である。第一に、未使用空間・時間の把握など「無駄の発見と排除」、第二に、過剰運転の排除など「効率アップ」、第三に、運転の自動制御など「負荷の平準化」、第四に、外気の取り入れ、太陽熱の利用など「自然エネルギーの活用と廃熱等の再利用」、第五に、竣工後のエネルギー消費特性の把握など「ビル竣工時からの設定の見直し」であり、近年のオフィスビルにおけるエネルギー消費特性を適切に把握する必要がある。

■ 100の対策メニュー

ガイドラインでは、「エネルギー消費先別」を横軸、「対策分類」を縦軸に、100の対策メニューを掲げている。省エネ効果の高い運用改善として、ボイラーなど燃焼設備の空気比の調整、同じく設備機器の改修・更新として、高効率空調機への更新や自動調光制御方式の導入などを例示している。

■ メニュー実施状況

ビル協会員にガイドライン対策メニューの実施状況を照会したところ、配管・バルブの更新や空調機のスケジュール運転・断続運転制御システムの導入などについては実施率が高かった半面、発光ダイオード照明や熱回収ヒートポンプなどについては、期待ほどの導入実績が得られていない。
また、実績ベースのCO2排出量を大きく左右するのはテナントの活動量であり、CO2削減にあたっては、テナントと連携した継続的な取り組みが重要なカギを握る。

【環境本部】
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