日本経団連タイムス No.2987 (2010年3月4日)

ラジャト・ナグ・アジア開発銀行事務総長と懇談

−アジアの成長と貧困の撲滅へ強力な官民連携に期待感示す


アジア・大洋州地域委員会(宮内義彦共同委員長、土橋昭夫共同委員長)は2月19日、来日したラジャト・ナグ・アジア開発銀行事務総長を招き、懇談会を開催した。ナグ事務総長からは経済危機から回復しつつあるアジア経済の概況と、アジア地域における貧困削減の重要性、およびインフラ開発における官民連携のあり方について、アジア開発銀行が関与する事例を交えつつ、詳細な説明を聞くとともに、意見交換を行った。
ナグ事務総長の説明要旨は次のとおり。

アジア経済の概況や官民連携のあり方など
について説明するナグ事務総長(左)

世界経済危機はアジアに深刻な影響を及ぼした。アジア途上国の2010年の成長率は6.6%と見込まれるなど、今後V字回復を果たすことが期待されるが、脆弱性もあり、景気対策は慎重に進める必要がある。同時にアジアのポテンシャルを活かすためには、自由貿易と市場開放を実現し、地域統合を進めることが重要である。意味のある経済統合を進め、アジアは生産地と同時に消費市場にもならねばならない。

一方、貧困国においては回復の遅れとともに、社会面での影響が深刻である。早急に貧困対策に取り組むとともに、成長を実現していかなければならない。また、アジアの成長に民間の参画は欠かせず、企業には特に官民連携(PPP)を通じた役割分担が期待される。日本企業には資本だけでなく、技術・ノウハウの提供をお願いしたい。強力な官民連携があれば、アジアの成長と貧困の撲滅が可能である。インフラ開発の需要は毎年約7000億ドルといわれ、これに民間資金を呼び込むためにさまざまな課題を解決していかなければならない。

【国際協力本部】
Copyright © Nippon Keidanren