日本経団連タイムス No.2987 (2010年3月4日)

生物多様性と経済・ビジネスに関する国際シンポジウム開催

−日本経団連自然保護協議会


日本経団連自然保護協議会(大久保尚武会長)は2月18日、東京・大手町の経団連会館で、地球環境戦略研究機関(IGES)、名古屋大学エコトピア研究所、国際自然保護連合(IUCN)日本プロジェクトオフィスとの共催により、「生物多様性と経済・ビジネスに関する国際シンポジウム-TEEBから見る生物多様性育む経済社会のすがた」を開催した。会場には、大久保自然保護協議会会長、田島一成環境副大臣のほか、300人以上が参加した。

TEEB( The Economics of Ecosystems and Biodiversity )とは、2007年から行われている、生物多様性の経済価値に関する研究プロジェクトで、今年10月に名古屋で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において最終報告を行う方向で準備作業が進められている。

当日は、TEEBプロジェクトのリーダーであるパヴァン・スクデフ氏が基調講演を行い、プロジェクトの目的や報告書の形式、自然の「公共財」としての価値を認識することの重要性などについて述べた。

また、日本経団連自然保護協議会からは、企画部会長の石原博氏から、日本経団連自然保護基金および協議会の生物多様性への取り組み、「日本経団連生物多様性宣言・行動指針」に示されている、経済・金融的手法の利用に関する基本的考え方、それを利用することが、現場の生物多様性保全に実質的に貢献するか否か、の観点からの慎重な検討が不可欠であることについて説明が行われた。

後半のパネルディスカッションでは、コーディネーターの古田尚也氏(IUCN日本プロジェクトオフィス)からの、今日の議論を踏まえ、日本企業は生物多様性にどのように取り組んだらよいかという問いかけに対して、同協議会の西堤徹氏(COP10プロジェクトチーム座長)が、TEEBの成果は、企業の生物多様性への取り組みの「見える化」に貢献するものであり、日本企業の生物多様性への取り組みの推進に参考になり得ると発言した。

また、石原氏は、日本経団連の「宣言」やTEEBなどを参考にしながら、できることから一歩一歩、具体的活動に着手、推進することの重要性に言及した。

TEEB報告書のうち、企業向け分冊の執筆責任者であるジョシュア・ビショップ氏(IUCNチーフエコノミスト)からは、この分冊の目的は、「日本経団連生物多様性宣言」とも共通であるとの見解が述べられた。

Copyright © Nippon Keidanren