日本経団連タイムス No.2989 (2010年3月18日)

大学改革の現状と経済界との連携に向けた課題で中教審と意見を交換

−教育問題委員会


安西 中央教育審議会大学分科会長

日本経団連は5日、東京・大手町の経団連会館で、教育問題委員会(石原邦夫共同委員長、蛭田史郎共同委員長)を開催した。会合では、中央教育審議会大学分科会の安西祐一郎分科会長(慶應義塾学事顧問)ほかを招き、経済界と大学の連携に向けた課題について意見交換を行った。
概要は次のとおり。

■ 経済界と大学の連携は重要

大学は、世間の風にさらされていないことや、大学教員の教育力を評価する仕組みがないことなどの問題を抱えており、大学と、卒業生を採用する企業との間には大きなギャップがある。大学側にも変わろうという意識はあり、経済界は、大学教育や教員の取り組みに具体的な関心を持ち、経済界と大学の連携に関する課題について、両者が相互理解を深めながら一つ一つ詳細に、かつ継続的に検討していく必要がある。

経済界が大卒に求めるコミュニケーションスキルや語学力、専門分野の知識や教養、大学院博士課程の育成のあり方等についても、今後の産業構造、労働市場の変化等を踏まえた人材養成の質と規模を想定しつつ、抽象論や総論でなく各論を経済界と大学の間で検討していく必要がある。

■ 企業と大学の交流拡大を

企業にも、より柔軟な人材育成策を検討してもらいたい。例えば、大学卒業後に就職した者が企業での経験を踏まえて大学院や別の分野の学部等に入学し、修了(卒業)後、また企業に戻るなど、大学と経済界の間をスパイラルのように循環して人材を育成するような取り組みが、日本にもっとあってもよい。具体的な方策について引き続き検討していきたい。

【社会広報本部】
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