日本経団連タイムス No.2991 (2010年4月1日)

「公的統計の整備に関する基本的な計画」の推進状況と国勢調査中心の統計整備推進で意見交換

−総務省担当官から説明聞く/経済政策委員会統計部会


日本経団連の経済政策委員会統計部会(佐々木常夫部会長)は3月12日、都内で会合を開催し、総務省・池川博士政策統括官(統計基準担当)、川崎茂統計局長から、「公的統計の整備に関する基本的な計画」の推進状況および国勢調査を中心とした統計整備の推進について説明を聞き、意見交換を行った。概要は次のとおり。

■ 「公的統計の整備に関する基本的な計画」の推進状況

公的統計の整備に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、昨年3月に「公的統計の整備に関する基本的な計画」が閣議決定された。

この基本計画では、2009年度からの5年間に政府が取り組むべき具体的な措置を示しており、政府は現在この計画に基づいて公的統計の整備に向けた施策の検討・実施を進めている。具体的には、(1)統計の二次利用の促進、母集団データベースの整備等の全府省横断的な事項(2)経済センサスを軸とした産業関連統計の体系的整備など複数府省にわたる事項(3)所管統計の改善など個別府省主管事項――について、各府省と情報共有、調整を行っている。あわせて、こうした計画期間1年目の取り組み状況について6月を目途に取りまとめるとともに、統計委員会へ報告する予定である。

■ 国勢調査を中心とした統計整備の推進

今年10月に実施する国勢調査は、人口減少に転じてから初めて行われるものであり、日本の未来を考えるために欠かせない統計情報を提供するものと位置付けられる。また、今回の調査では、個人情報の保護等の動向を踏まえ、回答しやすさ、正確さの確保、コスト縮減に配慮した調査方法の改善を行っている。また、インターネットによる回答もモデル地域を設置し、回収方法の多様化を図ることとした。さらに、信頼できる統計を作成していくためには、企業・団体等からの理解や支援が必要であることから、昨年10月には経済界、メディア関係、マンション関係、教育界などから構成される国勢調査協力者会議を開催し、協力を依頼しているところである。

なお、企業版の国勢調査ともいえる経済センサスについては、昨年7月に事業所・企業の捕捉に重点を置いた基礎調査を実施した。基礎調査の結果は、今年夏に公表予定であるが、引き続き2012年2月には経理項目の把握に重点を置いた活動調査を実施する予定である。

■ 意見交換

意見交換では、日本経団連側から、「事業所母集団データベースの作成にあたって行政情報の活用状況はどうなっているか」「インターネットの活用をもっと進めてコストの縮減を図るべきではないか」「国勢調査において、母集団の把握に重点を置くならば、もう少し質問事項を簡素化して、負担を減らすことも考えられないか」などの発言があり、総務省側からは「母集団情報の整備にあたっては、登記簿等の情報を活用しているが、今後は雇用保険の活用についても検討していきたい」「インターネットによる回答については、カナダの事例等を参考に、順次拡大を図っていきたい」「国勢調査の調査項目についてはできるだけ回答しやすいよう今後とも工夫していきたい」とのコメントがあった。

【経済政策本部】
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