日本経団連タイムス No.2993 (2010年4月15日)

「新卒採用に関するアンケート調査」集計結果を公表

−「コミュニケーション能力」選考時重視要素で7年連続1位


日本経団連は14日、「新卒(2010年3月卒業者)採用に関するアンケート調査」の集計結果を公表した。この調査は、企業の大学等新卒者採用活動の動向を把握するために1997年度から実施しているもので、今年2月から3月にかけて、会員企業1283社を対象に行い、425社から回答を得た(回答率33.1%)。アンケート結果の概要は次のとおり。

■ 採用実績・計画

2010年卒採用の実施企業割合は91.1%(前年度95.8%)となり、調査開始以来初となる2年連続の減少となった。
前年度と比べた採用人数の増減では、「増加」が14.2%(同34.9%)に対し、「減少」が68.7%(同21.9%)であった。採用人数を減らした理由としては、「経営環境の悪化」が60.5%でトップとなり、その他「昨年度に例年以上の採用をしたため、今年度は適正水準に戻した」という声もあった。
一方で、11年卒採用を実施する計画の企業割合は87.5%(同86.4%)となり、前回の急落から若干改善した。

■ 就職採用市場の評価

就職採用市場に関する見方については、04年度調査(05年卒)から5年間続いていた「売り手市場」評価が逆転し、64.1%の企業が「買い手市場」であったと回答、「売り手市場」と回答した企業は2.8%にとどまった。

■ 選考時に重視する要素

企業が選考にあたって重視した点を25項目から5つ回答する設問では、「コミュニケーション能力」が7年連続で1位となり、選択した企業割合は81.6%と前年度(76.6%)に比べさらに高まった。続く2位には「主体性」が入り、「協調性」を逆転した。
また、「専門性」が前年度に比べ急上昇し14位から9位へ浮上した。

■ 既卒者の受け付け

11年卒の採用活動における既卒者への対応を聞いたところ、「従来から受け付けている」と「今回、受け付ける予定がある」を合わせると39.3%であった。そのうち、新卒採用と同様の扱いで受け付けると回答した企業は76.0%あり、企業側の配慮がうかがえる。
一方、受け付ける予定がない企業は58.8%であり、「新卒者で充足している」が主な理由であった。

■ 「採用選考に関する企業の倫理憲章」の見直しについて

09年10月改定の倫理憲章では、新たに「広報活動であることの明示」の項目を設け、企業情報の発信を目的とした会社説明会などの広報活動を実施する際には、その後の選考に影響しないものであることを明示するよう努めることとしている。この追加項目については、賛同した企業が83.8%となり、「学生が学事日程を優先のうえ、参加・不参加を判断できる」といった声が寄せられた。また、10年卒採用において「広報活動であることの明示」を実施した企業は50.6%、11年卒採用において実施している企業は60.2%であった。

【労働政策本部】
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