日本経団連タイムス No.2994 (2010年4月22日)

環境自主行動計画〔循環型社会形成編〕09年度フォローアップ調査結果を発表

−08年度産業廃棄物最終処分量644万トン


日本経団連は1997年から、廃棄物対策にかかる「環境自主行動計画」を策定し、毎年度フォローアップ調査を行うことによって、産業界における自主的な取り組みを推進してきた。

近年の循環型社会形成に向けた産業界の取り組みは、単に廃棄物対策にとどまらず、循環型社会形成に向けて、3R(リデュース・リユース・リサイクル)など、幅広く取り組んでいることから、日本経団連では2007年3月、従来の環境自主行動計画を拡充し、「廃棄物対策編」から「循環型社会形成編」に改編した。同時に、これまで掲げてきた産業界全体の目標「2010年度の産業廃棄物最終処分量を1990年度実績の75%減とする」が02年度から05年度まで4年連続で前倒し達成されたことを踏まえ、同目標を「2010年度に1990年度実績の86%減とする」に上方修正した。また、業種ごとに、最終処分量削減以外の独自目標を設定した。

20日に公表した同計画の「2009年度フォローアップ調査結果」の概要は、次のとおり。

同計画参加41業種のうち、産業廃棄物を排出している主要31業種の2008年度の産業廃棄物最終処分量実績は約644万トンであり、前年度と比較して大幅に減少(マイナス約25.7%)している。これは、基準年としている1990年度実績(約5891万トン)の約89.1%減の水準に相当し、産業廃棄物最終処分量削減にかかる「産業界全体の目標(第二次目標)」を2年前倒しで達成した。基準年である1990年度から、なだらかな弧を描きながら大幅削減を実現してきた産業廃棄物最終処分量は、ここ数年削減ペースが緩やかになっていた。しかしながら、2008年度の産業廃棄物最終処分量は、削減努力に加え、景気低迷や、公共事業削減等による建設工事の大きな落ち込みの結果、大幅な減少となった。また、独自目標については、現在40業種が掲げている。

中長期的には資源・エネルギーの需給逼迫が予想されるため、資源小国であるわが国は、省資源・省エネルギーや資源の循環的利用に注力する必要がある。従来型の廃棄物処分場の逼迫問題や廃棄物の適正処理の必要性といった観点にとどまることなく、わが国資源政策の観点からも、循環型社会形成に向けた取り組みの推進が求められる。

産業界には引き続き、各種法令の順守や排出者責任に基づいた廃棄物の適正処理の確保はもちろんのこと、各業種の特性・実情等に即して、環境技術開発や環境配慮設計、産業間連携の推進など、民間の創意工夫を最大限発揮しながら、自主的かつ積極的に3Rの推進に努めていくことが求められている。

産業廃棄物最終処分量については、景気低迷等の影響を受け、2008年度の実績は大幅な減少となったが、景気は最悪期を脱しつつある。また、現行の環境技術・法制度のもとで、これ以上の削減が限界に近づいている業種も多い。こうしたなかであっても、日本経団連としては、2010年度まで、第二次目標の達成を継続する決意である。

なお、産業廃棄物最終処分量の削減に向けて、政府には、事業者における技術開発等の政策的支援や、規制改革を求めていく(政府は、「第二次循環型社会形成推進基本計画」(2008年3月)において、「2015年度の産業廃棄物最終処分量を2000年度比で約60%減」を設定している)。また、産業界における3Rの自主的な取り組みが推進されるよう、資源を有効に活用する観点から、政府は環境整備に尽力すべきである。とりわけリサイクルに関しては、廃棄物処理法の特例制度の活用・拡充や、広域的な処理の推進、行政手続きの簡素化等について特段の措置を講じることが求められる。

【環境本部】
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