日本経団連タイムス No.2995 (2010年4月29日)

「地球温暖化対策基本法案」および「地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ〜小沢環境大臣試案」で懇談

−環境省の南川官房長らと


地球温暖化対策基本法案(以下、基本法)および地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ(以下ロードマップ)には、中期目標に加え、国内排出量取引制度の創設、地球温暖化対策のための税の検討、再生可能エネルギーに係る全量固定価格買取制度の創設等が基本的政策として掲げられており、これらの政策は、産業界のみならず、国民生活全般に大きな影響を与えかねないものである。そこで日本経団連は15日、東京・大手町の経団連会館に環境省の南川秀樹官房長をはじめ、小林正明官房審議官、鎌形浩史地球環境局総務課長を招き、基本法とロードマップについて説明を聞くとともに懇談した。
南川官房長、鎌形課長の説明概要はそれぞれ次のとおり。

■ 温暖化対策基本法案について(南川官房長)

環境と成長の両立

基本法の目的は、「経済の成長と雇用の安定、エネルギーの安定供給とともに温暖化対策を推進する」ことであり、環境と経済の両立を超えて環境と成長の両立を目指す。
中期目標は公平性、実効性が確保された、世界的な枠組みが構築された場合という前提付きで温室効果ガスを1990年比25%削減(国際貢献、吸収源を含む)を掲げている。長期目標としては、国際合意された2050年に1990年比80%減(世界で半減)を目指す。また、一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合を10%とする。
さらに、地球温暖化対策の推進を図るため基本計画を策定することとし、そのなかでは、2030年、2040年の温室効果ガス排出の見通しも示すこととしている。
また、基本施策として国内排出量取引制度を創設することとし、その内容については、来年には成案を得たいと考えている。また、税のグリーン化を進め、来年度からの地球温暖化対策税の導入に向けて作業を進めている。加えて全量固定価格買取制度の創設も行う。エネルギー供給面では、原子力の稼働率向上とスムーズな建設を推進する。

■ ロードマップについて(鎌形課長)

温暖化対策費用の負担は今後検討

ロードマップは、今後の議論を進めるためのたたき台として、専門家で検討を行い、その結果を基に、小沢大臣が試案のかたちで中長期目標達成の道筋を示したものである。
今までの温暖化議論では温暖化対策の費用が負担として議論されてきた。しかし負担を投資ととらえることで市場、雇用が創出される結果となった。例えば、削減量が国内削減(真水)25%の場合、2020年度までに総額で約100兆円の追加投資が必要であるが、技術により2020年までに投資額の半分が回収される結果となっている。その際、国内排出量取引税や地球温暖化対策税の導入を行う。
ロードマップでは、社会経済的な影響に関する分析も経済モデルを使用して行っており、前向きの結果を得ている。この結果については、政府や環境省の公式モデルではなく、あくまで、数あるモデルのなかのひとつの参考という位置付けである。
今後、基本法の国会での審議、ロードマップに関する意見募集等の開かれた国民的議論を行う。

【環境本部】
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