日本経団連タイムス No.2995 (2010年4月29日)

再生可能エネルギーの全量買取制度に関して説明聞く

−資源エネルギー庁の渡邊課長から


経済産業省は、再生可能エネルギーの導入拡大を図るため、昨年11月にプロジェクトチームを設置し、再生可能エネルギーの全量買取制度の導入に向けた検討を進めてきた。第4回プロジェクトチーム(3月24日開催)では、代表的な4つの制度設計のオプション(選択肢)を取りまとめ、パブリックコメントに付した。

そこで、日本経団連の資源・エネルギー対策委員会企画部会(渡辺康之部会長)は15日、東京・大手町の経団連会館で会合を開き、再生可能エネルギーの全量買取制度の4つのオプションについて、資源エネルギー庁新エネルギー対策課の渡邊昇治課長から説明を受けるとともに、懇談した。渡邊課長の説明概要は次のとおり。

■ 制度設計における主な論点

1.買取対象について

買取対象としては、(1)太陽光発電等の実用化された再生可能エネルギーに限るのか、潮力発電等の今後実用化が見込まれるものまで対象とするのか(2)住宅用太陽光発電等についても全量買取の対象とするのか(3)制度創設後に新設された発電施設による電力に加え、制度創設前の施設による電力も対象とするのか――などが論点である。

2.買取価格・期間について

すべての再生可能エネルギーを同一の買取価格とするか、欧州同様に種類ごとに買取価格を変えるかが論点である。買取期間は諸外国と同様に15〜20年を提案している。

3.負担方法について

負担方法は、(1)買取費用の回収方法(2)地域間調整の是非(3)電気の大量ユーザー等の負担軽減措置の是非――などが論点である。買取費用の回収方法については、太陽光サーチャージとして電気料金に上乗せする方式か、税等その他の方式かという問題が存在する。

4.その他

(1)電力系統安定化対策費用の負担のあり方(2)他の政策(RPS法、補助金、グリーン電力証書等)をどのように取り扱うか――などが論点になっている。

■ 再生可能エネルギーの全量買取のオプション

以上の論点を組み合わせ、代表的な4つのケースを提示した。それぞれのケースにおいて、再生可能エネルギーの累積導入量、買取費用、負担額、CO2削減量、CO2削減コスト、系統対策費、市場規模の数値を示している。この4つのケースでは、買取費用の開きの大きさに比べ、累積導入量の開きは相対的に小さく、費用対効果が一定ではないことがわかる。

現在、検討内容を周知するため、全国で説明会を開催している。夏ごろまでに制度の大枠を提示する予定である。

【環境本部】
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