日本経団連タイムス No.2996 (2010年5月13日)

高齢者医療制度改革に向け4団体共同で要望書を取りまとめ提出

−公費負担拡充など要請


長浜厚生労働副大臣(中央)に要望書を手渡す
日本経団連など4団体の代表

日本経団連は、連合・全国健康保険協会・健康保険組合連合会と共同で、高齢者医療制度の再構築に向けた要望書を取りまとめ、4月27日に長浜博行・厚生労働副大臣に手交した。

厚生労働省は、昨年11月に「高齢者医療制度改革会議」を設置し、後期高齢者医療制度廃止後の新たな制度設計に向け、検討を進めている。同会議は、今夏に中間まとめ、年末までに改革案を取りまとめ、2011年の通常国会に法案を上程する予定である。

同会議では、高齢者医療と市町村国保の一体運営案(65歳以上の高齢者は国保に原則加入し、65歳未満と別勘定で運営)をベースに、(1)75歳以上の高齢者の医療給付費に公費5割を投入(2)現役世代の拠出負担は、国保と被用者保険の間は加入者割、被用者保険間は総報酬割――という方向で検討を進めている。この前提での財政試算(2010年度予算ベース)によると、健保組合の負担は現行より2000億円増加する。このような改革方向では、追加的な公費投入がなく、現役世代の負担は、ますます増加するものと懸念される。

検討過程で日本経団連は、高齢者医療制度は主として公費で支えるべきこと、現役世代の医療保険の持続可能性を十分に検証すること等を求めてきた。また、同会議では、今般の改革を「地域保険としての一元的運用」の第一段階として位置付けているが、これに対し、地域や職域の保険者が果たしてきた役割を十分に踏まえたうえで慎重に検討すべきと主張してきた。

これらの点について、被用者保険に関わる4団体で意見一致をみたことから、高齢者医療制度の再構築に向けた検討において、(1)高齢者医療制度に対する公費負担の拡充(2)地域保険と被用者保険との維持・発展――を考慮するよう、4団体共同で要請することとなった。今後、政府ほか関係各方面の理解が得られるよう、各団体が協調しつつ継続的に働きかけを行っていく予定である。

【経済政策本部】
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