日本経団連タイムス No.2997 (2010年5月20日)

訪中ミッション派遣、温家宝総理らと会見

−環境・省エネ等の協力で意見交換


温家宝総理と会見する御手洗会長(左)
写真提供:産経新聞社

日本経団連(御手洗冨士夫会長)は11日から15日にかけて、中日友好協会の唐家セン(とう かせん)名誉顧問の招きで、御手洗会長を団長として、米倉弘昌評議員会議長、渡文明副会長をはじめとする12名の団員で構成するミッション(総勢約40名)を派遣、中国の北京と唐山市曹妃甸(そうひでん)を訪問した。

今回の訪中ミッションは、日本経団連が過去4年間、御手洗会長のもとに良好で緊密な日中経済関係の構築に邁進してきた対中交流のいわば集大成である。

現地では、温家宝(おん かほう)総理、李源潮(り げんちょう)共産党中央組織部長をはじめ11名の国家指導者、政府・党の首脳と会見した。

一連の会見では、現在の良好な日中関係を確認し、今後進めていくべき協力分野について、予定時間を大幅に超過して、熱心かつ踏み込んだ意見交換を行った。

テーマの第一は、人的交流の拡大である。温総理は、「戦略的互恵関係のほかに日中が進むべき道はない」「日中の友好関係の基盤は民間交流であり、一般国民がもっと交流すべきである」と指摘し、日本側は、これを支持する旨を述べた。なお、人的交流促進のため、今回、日本経団連と中日友好協会との間で、交流取り決めを締結した。

第二は、環境保護、省エネ、新エネ開発、低炭素社会の構築等での協力である。日本側から、リサイクル、高効率の石炭火力・送電設備、スマート・グリッドなどについて説明したところ、中国側から技術協力について期待が寄せられた。

また、日本経団連側から、来年6月5日の世界環境デーに北京で「グリーンプロダクツ展」開催の提案をしたところ、中国側の支援が約束された。

一方、中国側からは、国家プロジェクトとして進めている循環型経済モデルの実験都市である唐山市の曹妃甸工業区開発を戦略的互恵関係の協力プロジェクトとして、わが国政府の支援とともに、日本企業にぜひとも手を貸してほしいとの要請があった。ミッションは、14日に現地を訪れ、唐山市幹部と意見交換した。担当の唐山市の趙勇(ちょう ゆう)書記からは、「これは中国の大きな夢である。この夢を日本経団連とともに実現したい」との要望を寄せられた。

テーマの第三は、東アジアの経済統合と第三国での日中協力の推進である。温総理は、日中韓FTAを早期に締結すべきであると指摘した。また、陳徳銘(ちん とくめい)商務部長とは、日中がアジアの発展に貢献するインフラ整備に協力していくことで一致した。

なお、御手洗会長から温総理に対して、「月末の訪日の際には、ぜひとも経団連会館にお越しいただき、中国の力強い発展の姿を、直接、会員企業のトップにお話しいただけないか」と要望したところ、快諾された。

【国際協力本部】
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