日本経団連タイムス No.3000 (2010年6月10日)

新任副会長が抱負


経団連が5月27日に開催した定時総会後に行われた記者会見で、新たに副会長に選任された川村隆、坂根正弘、三浦惺、中村芳夫の4氏が経団連活動への抱負を語った。各副会長の発言の概要は次のとおり。

川村副会長(日立製作所会長)

日々の業務のなかでも教育の重要性を認識しているが、教育は長期的な成長戦略そのものである。初等教育から高等教育、社会に出てからの教育など、全般的に見直す必要があるが、知識や語学といったスキルの教育だけでなく、職業意識やグローバル意識といったマインドの教育にも重点をおいて活動していきたい。これはグローバル人材の育成にもつながる。

今後、中国のみならず、東南アジアからインドを含む、アジアベルト地帯が世界の成長市場となるであろう。この地域との経済連携の促進や、地域経済統合のあり方について、議論を深めていきたい。本年は日本がAPECの議長国となる。11月には経団連主催のAPEC・CEOサミットが予定されているので、その成功に向けて貢献したい。


坂根副会長(小松製作所会長)

日本は現在、世界で最も成長していない国となっており、なぜ成長できないのかを考える必要がある。

環境と経済を両立する道は2つしかないと考える。まず、製品の生産段階で排出されるCO2のみではなく、製品のライフサイクルでCO2の排出を見て正しく評価することである。第2は、企業の技術を国際的に活かせるようにすることである。京都議定書の仕組みでは、ビジネスとして成り立つ事業はなかなかクリーン開発メカニズムとして承認されないが、CO2を大きく削減できる事業を推進する仕組みとなるよう政府に働きかけたい。

新設の政策検証委員会では、政策提言の検証をPDCAのサイクルを回しながら深堀りし、実現に向けた具体的な仕組みまで提案したい。


三浦副会長(日本電信電話社長)

日本は少子高齢化に伴う医療・介護の問題、環境問題など、「課題先進国」と言われている。それを「課題解決先進国」とすることが重要であり、それがひいては国際競争力の強化につながる。

「国家は人なり」「企業は人なり」という言葉があるが、人の問題は共通の課題となっている。雇用情勢はいまだ厳しいが、少子高齢化の進行を考えると、雇用の流動性、多様化が今後の大きな課題になる。その観点から、労働法規について、積極的に提言していきたい。

地方団体長会の議長としては、昨年から地方の経営者の方々とさまざまな議論を行っており、中小企業の経営状況が想像以上に厳しいことをひしひしと感じる。経団連のなかで、そうした声を一層吸い上げ、提言活動に活かしていきたい。


中村副会長(経団連事務総長)

日本の経済社会はかつてないほど大きな変化のさなかにあり、経団連の役割は大きく変化している。この変化を的確に見極め、それに対応し、経団連自身も変化していくという覚悟と行動力が不可欠である。

経団連の強化という観点から、2点申し上げたい。まず、経団連の会員企業が円滑に事業活動を進められるよう環境整備に努めたい。活動の拡充に加え、それを支える事務局を強化したい。前例にとらわれず柔軟な発想で活動を支えられる人材を養成していく。第2に、広報の強化である。経団連の活動も国民の理解と後押しがなければ推進することができない。経団連の考えや活動をわかりやすく、かつタイムリーに発信していきたい。


【社会広報本部】
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