日本経団連タイムス No.3000 (2010年6月10日)

第2回日中韓ビジネス・サミット開催

−地域経済統合の推進などで共同声明


会合での米倉会長

経団連は、韓国・全経連(全国経済人連合会)、中国国際貿易促進委員会とともに5月29・30の両日、韓国済州島において、第2回日中韓ビジネス・サミットを開催した。同サミットは、中国国際貿易促進委員会の提唱で、2009年10月の日中韓首脳会議(サミット)にあわせて北京で初回会合が行われ、今回は、韓国の全経連が幹事となり開催した。経団連からは、米倉弘昌会長(団長)、槍田松瑩副会長、榊原定征副会長、大橋洋治副会長、坂根正弘副会長、原良也評議員会副議長はじめ32名が参加した。また、韓国側からは、趙錫来全経連副会長はじめ35名、中国側からは万季飛中国国際貿易促進委員会会長はじめ60名が参加した。米倉会長の就任後、初の国際会議であり、経団連のアジア重視の姿勢をアピールする絶好の機会となった。

1.サミットの成果

サミットでは、東アジアの経済統合の推進、アジア内需の拡大、環境・省エネでの協力など、今年3月に経団連が主催したアジア・ビジネス・サミットで取り上げたテーマを中心に議論を深めた。大きな潜在成長力を有するアジアが域内需要を喚起し、世界経済を牽引していく必要があり、特にASEAN+6のGDPの約7割を占める日中韓の経済界が中心となり、その責務を果たすことが不可欠であることを確認した。

2.共同声明

サミットでの議論を通じて、次の4点に合意し、共同声明を取りまとめた。

(1)地域経済統合の推進

アジア地域のFTA・EPAネットワークの空白を解消するうえでは、包括的な日中韓FTAが不可欠である。日中韓FTAの産官学の共同研究が始まったことを歓迎し、早期締結を目指すべきである。

(2)地球規模課題への取り組み

省エネの推進は、地球温暖化防止やエネルギー安全保障に貢献するため、官民連携による産業セクター別の技術移転を推進する必要がある。

(3)国際標準化

民間が推進するイノベーション、あるいは環境配慮型の製品の普及のため、技術の国際標準化を推進する。

(4)観光振興

観光振興ならびに人的交流の推進のために、受け入れ体制の整備や、観光ビザの発行要件の緩和について働きかけていく。

3.三国首脳への報告

これらの成果については、ビジネス・サミット直後の日中韓首脳との昼食会で、3団体の長から、鳩山由紀夫総理(当時)、李明博大統領、温家宝総理に報告した。これに対し、三国首脳は、日中韓FTA締結のプロセスを迅速化させる必要性を強調した。また、温家宝総理からは、「標準化は一つの発明よりも価値がある」として、東アジアにおける国際標準化に向けた取り組みが重要であるとの認識が示された。

4.今後の取り組み

今回の成果を踏まえて、この秋に経団連が主催するAPEC・CEOサミットや、次のアジア・ビジネス・サミットへとつなげていく。また、来年日本で開催される日中韓サミットの際に、次回のビジネス・サミットを開催する予定である。

【国際協力本部】
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