日本経団連タイムス No.3000 (2010年6月10日)

新任管理者基礎講座開く

−日本経団連事業サービス


日本経団連事業サービスは5月19日から3日間、企業の新任管理者または経験の浅い管理者を対象に「新任管理者基礎講座」を開催した。企業を取り巻く経営環境が大きく変化する今、組織の中核となる管理者の役割がますます重要になっていることから、管理者の能力向上を目的に実施したもの。講義にあわせて多くのワークショップを実施し、組織の中核となる管理者の役割や成すべきこと、経営を見る目などについて学んだ。

講座初日はまず、野村総合研究所経営コンサルタント部の伊吹英子上級コンサルタントを講師に、CSR・企業の社会的責任について考察した。

伊吹氏は、CSRをリスク回避のための「守り」の取り組みとするだけではなく、企業活動を優位に展開するチャンスととらえ、「攻め」の取り組みとすることを示唆。さらに社員一人ひとりが日々の業務のなかでCSRを意識し、日常的に取り組むようになったときに効果を発揮することを強調した。

続く第2講座では、第一芙蓉法律事務所の木下潮音弁護士が、法に基づく労務管理の要諦を解説。基本となる労働契約と就業規則、労働基準法の特徴や労働条件、メンタルヘルス、問題社員対応などについて学んだ。

そのなかで木下講師は、「管理職はルールを守らせる立場にある。労働契約の具体的内容を定めた自社の最新の就業規則をしっかり理解し、就業規則を守らせなければならない」と指摘。さらに、日常行動の注意点として、「部下をよく見てよく聴くこと。部下の変化に早く“気づく“ことが重要」と述べ、日常の観察・記録に心がけ、“気づく”という責任があることを強調した。

2日目は、求められる役割の認識と強い組織づくりがテーマ。野田稔・明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科教授が、活性化した組織をつくるためのリーダーの役割などについて、映像やグループワークを活用して指導した。

野田講師はリーダーの役割について、「なすべきことを決め、できる仕組みをつくり、人を育て、やる気を引き出すこと」と定義。さらにキーワードを「イノベーション」とし、今後10年で自分たちができること、なすべきことを考え、挑むべきフロンティアを見いだすことを提案した。

3日目の第1講座では、齋尾浩一朗・あずさ監査法人シニアマネジャーが財務諸表の見方・読み方について、企業の具体例を使って解説。財務諸表の構成から利用の仕方、分析、さらには粉飾決算を見分けるポイントなどについて指導した。

最終講座では田中洋・中央大学大学院戦略経営研究科教授が、マーケティングの役割から実践への応用まで、実習を交え指導した。実習では、あらかじめ与えられた課題とデータをもとに、商品需要を増加させるマーケティング戦略を検討。データを読むポイントや戦略的ヒントなど、詳細なアドバイスのもとに、最小限の努力で最大の効果を上げる戦略を学んだ。

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