日本経団連タイムス No.3025 (2011年1月1日)

番号制度に関するシンポジウム「豊かな国民生活の実現に向けて」開催

−企業トップら500名参加、講演やパネル討論など展開


渡辺副会長
峰崎内閣官房参与
内田委員長

日本経団連は12月15日、東京・大手町の経団連会館で番号制度に関するシンポジウムを開催、企業関係者、政府や地方自治体関係者、経済広報センターの社会広聴会員など幅広い分野から約500名が参加した。

冒頭あいさつした渡辺捷昭副会長は、国民の「安心」「便利さ、快適さ」を実現し、「透明」「効率的な」政府を構築し、新たなサービスを創造するために、番号制度は不可欠のツールであると強調、早期実現を求めた。

来賓としてあいさつした峰崎直樹内閣官房参与は、「2011年6月下旬までに番号制度の法制化に向けた大綱をつくり、早ければ同年秋の臨時国会に法案を提出したい。不退転の決意で進めていきたい」と述べるとともに、政府の検討会の中間整理のポイントを説明した。

基調講演では、内田恒二電子行政推進委員長が、経団連の提言「豊かな国民生活の基盤としての番号制度の早期実現を求める」に基づき、企業の経営改革を例に、電子行政におけるIT基盤の強化や番号制度の整備の必要性を示すとともに、番号制度の具体的な利用シーンを紹介し、制度の早期導入を求めた。

次のデモンストレーションでは、番号制度を活用した、日常生活における将来的な利用シーンが紹介された。

また、安達和夫東アジア国際ビジネス支援センター事務局長は、国民の不安解消に向けた諸外国における取り組みを中心に、安心・安全な基盤整備について講演した。

番号制度は超党派で取り組む

パネルディスカッションには、和田隆志内閣府大臣政務官、平井卓也自民党IT戦略特別委員会委員長、井堀幹夫市川市情報政策監、佐々木かをりイー・ウーマン社長、佐藤政行セブン&アイ・ホールディングス執行役員が出席し、遠藤紘一電子行政推進部会長がモデレーターを務めた。

まず、番号制度の必要性について「社会保障と税制の受給と負担の関係を明確化するために導入したい」(和田氏)、「国民は、自分が自分であることを簡単に証明できることを必要としている」(平井氏)などの指摘があった。

具体的な活用方法としては、「介護などの住民サービスを評価し、有効なサービスの提供に結び付けたい」(井堀氏)、「市区町村や税務署等への報告・申請等の業務が電子化され、業務効率化につながる」(佐藤氏)などが示された。

制度に対する懸念に対しては、「誰が自分の情報にアクセスしたかが確認できれば、不安の解消につながる」(佐々木氏)などの指摘があった。

また、実現に向けて、「政策の優先順位を上げなくてはいけない」(平井氏)、「目指すべき方向性は一致している」(和田氏)との見解が示され、超党派で取り組む必要性が確認された。

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最後に、59団体・個人が賛同したメッセージ「私たちは、番号制度の導入を支持します。」を司会者が読み上げ、シンポジウムは盛況のうちに閉会した。

企業トップら500名が参加した番号制度に関するシンポジウム
【産業技術本部】
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