日本経団連タイムス No.3027 (2011年1月20日)

日本経団連「社会貢献基礎講座」

−わが社らしい活動創出のヒントを伝授/講座と合宿通じ基礎的知識や先進的事例紹介


日本経団連事業サービス(米倉弘昌会長)は、企業がCSRの一環として推進する社会貢献活動について包括的に学ぶ「社会貢献基礎講座」を実施している。2010年度は、8回の講座と合宿を通じて、基礎的な知識や先進的な事例を紹介するとともに、受講生が自社の活動について考察し、プログラムの見直しや開発に役立つ視点やヒントを得ることができるような討議を行った。講座に込められたエッセンスを報告する。

「企業」としての特性と「企業市民」としての特性を考える

日本経団連では、企業の社会貢献活動を「自発的に社会の課題に取り組み、直接の対価を求めることなく、資源や専門能力を投入し、その解決に貢献すること」と定義している。CSRへの取り組みが進み、「いかに持続可能な発展に貢献するか」という視点が強まってきた。

「わが社らしい」活動を創出するには、企業理念や創業の精神、企業風土や文化、業種、業態、規模、活動拠点など「企業」としての特性と、社会貢献活動の動機、投入できる経営資源、達成したい企業価値、重点分野や対象、活動を展開する場所など「企業市民」としての特性を考える必要がある。動機には、使命感、自己利益、働きかけへの対応という3つの要素があり、これらがブレンドされている。

NPOとの協働で社会のニーズに合致した活動を展開する

また、活動が社会のニーズに合致していることが重要であり、社会の課題に先駆的、専門的に取り組むNPOや仲介してくれるNPOと協働することで、ある程度担保することができる。NPOと協働する際には、目標を明確にし、各々の特性を活かした役割分担により、対等な関係を築いて進めていく必要がある。

企業が社会貢献活動を推進していくうえでは、ステークホルダーの理解促進、社員の社会参加支援、活動の評価、グループ内の推進体制の確立などが各社共通の課題となっているが、正解はない。先進事例に学びながら自社にあったアプローチを導いていけばよい。

CSRとの関連で関心が高まっている分野としては、環境、人権、次世代育成、開発協力などがある。特に、「持続可能な開発のための教育(ESD)」は、どんな分野の活動であっても取り入れることができる概念として注目されている。

社会起業家としての役割担う社会貢献担当者

企業の社会貢献担当者は、自社の特性や事業戦略をにらみつつ、社内の資源を投入し、社会的課題解決に向けた活動を展開するという、社内ソーシャル・アントレプレナー(社会起業家)的な役割を担っている。NPOの活動現場や関連するセミナー・シンポジウムなどにも足を運び、異業種の企業ともネットワークを築くことで活動を磨いていくことができる。

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日本経団連事業サービスでは、過去の受講生から意見を聞きながら、2011年度の社会貢献基礎講座を企画中。詳細に関する問い合わせは、日本経団連事業サービス(電話03‐6741‐0042)まで。

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