日本経団連タイムス No.3028 (2011年1月27日)

防衛計画の大綱および中期防衛力整備計画に関する説明会を開催


日本経団連は12日、東京・大手町の経団連会館で、「防衛計画の大綱」および「中期防衛力整備計画」に関する説明会を開催した。当日は、防衛生産委員会の川井昭陽総合部会長が司会を務め、内閣官房副長官補付の山内正和内閣審議官から防衛計画の大綱、防衛省防衛政策局の堀地徹防衛計画課長から中期防衛力整備計画について説明を聞き、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 防衛計画の大綱

昨年12月17日に政府は防衛計画の大綱を6年ぶりに閣議決定した。わが国の安全保障環境について、北朝鮮の核・ミサイル問題は地域の喫緊かつ重大な不安定要因であり、中国の軍事力近代化や透明性の不足等は地域・国際社会の懸念事項である。

そこで防衛力の適時・適切な運用等により抑止力の信頼性を高めるとともに、国際平和協力活動等の多様な役割を能動的に果たし得る「動的防衛力」を構築する。

自衛隊の体制については、冷戦型の装備・編成を縮減し、南西地域も含めた防衛態勢を充実させる。また、防衛生産・技術基盤の維持・育成のため、中長期的な戦略を策定する。防衛装備品をめぐる国際的な環境変化に対応するための方策について検討する。内閣官房長官談話では、武器輸出三原則等の基本理念は維持するとしている。

陸上自衛隊は編成定数を15万5千人から15万4千人、戦車を600両から400両に減らす。航空自衛隊は作戦用航空機を350機から340機に減らす。一方、海上自衛隊は潜水艦を16隻から22隻に増やす。また、弾道ミサイル防衛のため、地対空誘導弾部隊を3個高射群から6個高射群に増やす。

■ 中期防衛力整備計画

防衛計画の大綱と同時に閣議決定された、中期防衛力整備計画は、動的防衛力を構築するための2011年度からの5年間の計画である。

基幹部隊を見直し、陸上自衛隊を南西地域の島嶼部に配置する。海上自衛隊は護衛艦部隊を機動的に運用し、潜水艦を増やす。航空自衛隊では那覇基地の飛行隊を2個飛行隊に増やす。

自衛隊の体制整備にあたっては、統合の強化、国際平和協力活動への対応能力の強化、情報機能の強化、科学技術の発展への対応を重視する。

また、防衛能力発揮のための基盤として、階級・年齢構成の見直しなど人事制度改革を行う。さらに、防衛装備品をめぐる国際的な環境変化に対する方策の検討を行うこととしており、防衛大臣談話として自衛隊の国際協力の機会の増加や、装備品の国際共同開発への先進諸国の参加を環境変化として挙げている。

計画実施に必要な防衛関係費総額は23兆4900億円である。

【産業技術本部】
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