日本経団連タイムス No.3028 (2011年1月27日)

第54回福利厚生費調査結果 報告書を取りまとめ

−2009年度の福利厚生費、従業員1人1ヵ月当たり前年度比5.7%の減少に


日本経団連は第54回福利厚生費調査の集計結果概要を昨年12月21日に公表し、このたび報告書を取りまとめた。主な内容は次のとおり。

2009年度における企業の福利厚生費負担額は、従業員1人1カ月当たり9万7440円で前年度に比べ5.7%減少した。

福利厚生費のうち、社会保険料等の企業負担分である「法定福利費」は7万1480円、企業が任意に行う福祉施策に要する費用である「法定外福利費」は2万5960円となり、前年度比でそれぞれ5.5%、6.2%減少した。現金給与総額は、53万3379円で前年度比6.9%の減少である。

法定福利費の減少の主な要因としては、雇用保険料率の引き下げに加えて、世界的な景気後退の影響による現金給与総額の減少が挙げられる。ただし、厚生年金保険料率の引き上げや健康保険、介護保険の料率の上昇により、法定福利費の対現金給与総額の比率は過去最高の13.4%となった。法定福利費は企業の裁量により費用を変動させることができないことから、総額人件費管理において、留意すべき要素であることに変わりがない。

法定外福利費はすべての大項目で費用が減少した。法定外福利費のおよそ半分の割合を占める「住宅関連」は、独身寮や社宅の運営費用である「住宅」と「持家援助」がともに減少し、前年度比4.2%減の1万2654円、「文化・体育・レクリエーション」は従業員対象のイベントの緊急避難的な中止などにより8.5%減少し、2021円となった。

全体の費用が減少する一方で、小項目では費用が増加した施策がみられる。「医療・健康」のうち、従業員の健康診断費用の補助などである「ヘルスケアサポート」は3.3%増加し、870円、「ライフサポート」のうち、「育児関連費用」は17.2%増加し、177円となった。近年、両施策は増加傾向にあり、特に「育児関連費用」は8年連続の増加となった。

以上のことから、法定外福利費は厳しい経営環境を反映して減少したものの、各企業において、限られた費用を必要不可欠な施策に重点的に配分していることが明らかとなった。

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日本経団連福利厚生費調査は、1955年度から毎年実施し、今回で54回目。同調査においては、福利厚生費の各項目について企業の年間負担総額を年間延べ従業員数で除した1人1カ月当たりの平均値(加重平均)を算出している。調査対象は日本経団連会員企業および同団体会員加盟の企業1657社で、有効回答企業数は701社(有効回答率42.3%)。回答企業の平均従業員数は4305人である。

【労働法制本部】
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