日本経団連タイムス No.3031 (2011年2月17日)

改正放送法などで説明聞き意見交換

−情報通信委員会通信・放送政策部会


日本経団連の情報通信委員会通信・放送政策部会(前田忠昭部会長)は4日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、総務省情報通信国際戦略局の長塩義樹参事官から、改正放送法等について説明を聞き、意見交換した。
説明概要は次のとおり。

■ 通信・放送法体系の見直し

政府は、通信と放送に関する総合的な法体系のあり方を検討し、2010年10月に「放送法等の一部を改正する法律案」を国会に提出、同年12月に成立・公布した。
これまでの日本の通信・放送法制は、放送関連法がサービスごとに「放送法」「有線ラジオ放送法」「有線テレビジョン放送法」「電気通信役務利用放送法」の4つに分かれ、通信関連法も「電気通信事業法」と「有線放送電話法」に分かれていた。今回の法改正では、放送法制と電気通信事業法制をあえて一本化することはせず、放送法制と電気通信事業法制をそれぞれ一本化した。また、インターネット等で配信される放送類似の通信コンテンツは、規制の対象としないこととした。

■ 地上放送における経営の選択肢の拡大

新たな放送法では、地上放送における経営の選択肢の拡大を図った。放送事業者が放送設備の設置(ハード)と放送の業務(ソフト)の両方を行うか、どちらか一方しか行わないか、事業者自らが選択できるようにした。また、放送の「多元性」「多様性」「地域性」を確保するために設けられている「マスメディア集中排除原則」について、これまで総務省に委任されていた具体的な内容を法定化した。

■ 電波利用の促進と紛争処理機能の拡充

電波をより自由に安心して利用できる環境を整備するため、電波法も一部改正した。1つの無線局を通信、放送の両方に使うことを可能とし、例えばテレビ放送を行わない深夜の空き時間帯にデータを伝送するなどの利用を可能とする。また、免許不要局の範囲拡大や、携帯電話基地局の免許の包括化なども行う。
電気通信事業法では、コンテンツ配信事業者等と電気通信事業者との間の紛争を電気通信紛争処理委員会のあっせん・仲裁の対象とするなどの改正が行われた。

〈意見交換〉

意見交換では、「さまざまな規制の柔軟化を評価する。実務対応においても配慮してほしい」「今度の法改正で新産業育成が期待される」等の意見があった。これに対し、「今後も社会の流れを見ながら、制度の見直しを継続していくつもりである」との回答があった。

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なお、今回の法改正が、これまでの経団連の提言とほぼ整合するかたちで行われたことから、通信・放送政策部会は廃止することになった。

【産業技術本部】
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