日本経団連タイムス No.3033 (2011年3月3日)

持続可能な社会を担う人材育成に向けて

−「消費者・市民教育モデル事業」を開催/政府・消費者団体・NPOなどと協働で


企業・消費者団体・NPOなどが出席したシンポジウム

日本経団連は2月22日、都内でマルチステークホルダー(関係省庁、事業者団体、消費者団体、NPO・NGO、労働組合等)の協働により、「消費者・市民教育モデル事業」を開催した。同モデル事業は「社会的責任に関する円卓会議」の協働プロジェクトとして、文部科学省の「消費者教育フェスタ」と連携して実施したものである。具体的には、持続可能な社会を担う人材育成に向けて、パネルディスカッションを行うとともに、各セクターが取り組んでいる模擬授業の実演や教材等を紹介し合い、今後の課題等を探った。

パネルディカッションに先立ち、文部科学省の坂東久美子生涯学習政策局長から、「さまざまな場における消費者・市民教育の推進が重要であり、被害やトラブル防止の教育だけではなく、社会を主体的につくり上げるという観点からの教育が重要である」とのあいさつがあった。

パネルディスカッションでは冒頭、コーディネーターの萩原なつ子氏(立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授・日本NPOセンター常務理事)から、「かつて企業と消費者団体は対立した構造でとらえられていたが、本日は同じテーブルについて消費者・市民教育を推進している。加えて、政府やNPO等も加わり、マルチステークホルダーでの協働の取り組みが行われている。これは極めて画期的である」との発言があった。

続いて、パネリストの全国消費者団体連絡会の阿南久事務局長、ACEの岩附由香代表、損害保険ジャパンの関正雄理事、横浜国立大学教育人間科学部の西村隆男教授が、各セクターの取り組みを説明するとともに、持続可能な社会を担う人材育成に向けた提言について、それぞれの立場から意見交換を行った。具体的には、「消費者・市民教育はすべての年代の暮らしすべてにかかわる教育である」「消費者の権利だけではなく、消費者の責任を考えることも必要である」「今後、地域を中心に協働の仕組みづくりが重要である」といった意見が出された。

その後、事業者、消費者団体、金融、NPO・NGO、政府などの14団体によって、日ごろ実施している出前授業の実演や紹介が行われた。

また、会場では、37団体が参加し、自ら作成した教材やパネル等を展示するとともに、資料の無料配布などが行われた。

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当日は、地方自治体の消費者関連部門や教育委員会、大学関係者をはじめ、各セクターから400人以上の参加があった。今回のモデル事業を通じて、他のセクター等が実施している消費者・市民教育にかかわる活動について、理解を深めることができた。今後、「社会的責任に関する円卓会議」では、同事業をモデルとして、持続可能な社会を担う人材の育成に向けて、地域における協働の取り組みの推進を働きかけていく予定である。

【政治社会本部】
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