日本経団連(米倉弘昌会長)は7日、「未来都市モデルプロジェクト最終報告」を公表した。報告書の概要は次のとおり。
わが国全体に閉塞感が漂うなか、この難局を打ち破るには、企業が活力を取り戻し、経済成長を牽引する必要がある。そのため、わが国の強みである「技術力」と「人材力」に磨きをかけ、世界に先駆けてイノベーションを創り出す「イノベーション立国」を実現していかなければならない。
経団連はこれを自ら体現するため、「未来都市モデルプロジェクト」を実施する。
同プロジェクトでは、地球環境問題や人口減少・少子高齢化などのわが国が抱える課題の解決に挑み、「課題解決型イノベーションモデル」を構築する。また、誰もが住みたいと思うまちづくりを目指す。さらに、各社が有する技術やノウハウをパッケージ化し、わが国産業の競争力強化につなげる。このプロジェクトの成果は、国内さらには海外に展開し、成長分野として発展させる。
同プロジェクトは、日本全国12都市・地域で実施する(図表参照)。
対象とする分野は、(1)低炭素・環境共生(2)先進医療・介護(3)次世代交通・物流システム(4)先端研究開発(5)次世代電子行政・電子社会(6)国際観光拠点(7)先進農業(8)子育て支援・先進教育――である。これらの分野から複数の機能を組み合わせてプロジェクトを行う。
基本的には民間主導のプロジェクトである。ただし、企業のみで取り組めない部分は、地方自治体、医療機関、教育機関、研究機関、農業組織などと連携、協力して取り組む。プロジェクトによっては、既存あるいは現在構想中の政府、自治体、民間等のプロジェクトと連携、協力する。
また、規制緩和やシードマネー(起業資金)が必要なものについては、政府の総合特区制度などを活用する。
プロジェクトの事業期間は概ね2年から5年程度を予定している。ただし、まちづくりなどの状況に応じて、期限を区切らないものもある。今回のプロジェクトは実証実験までとし、その後の事業化、国内外へのビジネス展開は、参加企業が個別に判断する。
経団連は、このプロジェクトを通じて、単なる政策集団にとどまることなく、行動する経済団体としてさらに積極的な活動を行う。
※個別プロジェクトの詳細については、ホームページの「未来都市モデルプロジェクト最終報告」(URL=http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/013/index.html )を参照いただきたい。
名称 | 場所 | 実施主体 | 主な取り組み |
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1.岩手南部循環型 バイオマス都市 |
岩手県 南部地域 |
釜石市、新日本製鐵、 東芝他 |
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2.福島医療ケア サービス都市 |
福島県 地域 |
檜枝岐村、 東日本電信電話他 |
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3.日立市スマート 工業都市 |
茨城県 日立市 |
日立市、 日立製作所他 |
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4.柏の葉 キャンパスシティ |
千葉県 柏市 |
柏市、三井不動産、 日立製作所、 東京電力、住友化学、 UDCK、TEP他 |
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5.豊洲スマート 電化都市 |
東京都 江東区 豊洲 |
東京電力、 江東区他 |
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6.藤沢環境創造都市 |
神奈川県 藤沢市 |
パナソニック、 藤沢市他 |
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7.豊田次世代 エネルギー・ モビリティ都市 |
愛知県 豊田市 |
豊田市、トヨタ自動車、 住友化学、 名古屋大学他 |
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8.京都e-BUS ネットワーク都市 |
京都府 京都市 |
京都市、 三菱重工業 |
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9.山口アクティブ・ エイジングシティ |
山口県 山口市 |
山口商工会議所、 日立製作所、 山口市他 |
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10.西条農業革新都市 |
愛媛県 西条市 |
西条市、住友化学、 三菱重工業/三菱 農機、パナソニック他 |
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11.北九州アジア 戦略・環境拠点都市 |
福岡県 北九州市 |
北九州市、北九州 スマートコミュニティ 創造協議会、海外 水循環ソリューション 技術研究組合他 |
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12.沖縄物流拠点都市 |
沖縄県 (那覇市他) |
沖縄県、全日本空輸、 那覇市他 |
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