日本経団連タイムス No.3035 (2011年3月17日)

提言「改定『観光立国推進基本計画』に望む」公表

−政府が講じるべき施策など提示


日本経団連は15日、提言「改定『観光立国推進基本計画』に望む」を公表した。政府は現在、わが国観光政策のマスタープランである「観光立国推進基本計画」(2007年6月閣議決定)の見直しを進めており、同提言は、改定基本計画に盛り込むべき事項を取りまとめたものである。概要は次のとおり。

■ 基本的方針と目標

今後の観光政策の基本的方針として、観光が持つ経済的な意義(日本経済の成長への貢献、地域活性化の柱)、政治・外交的な意義(国際相互理解の促進、国際平和への寄与)双方を重視する必要がある。また、この基本方針に即して、訪日外国人観光客数、国際会議の開催件数および外国人参加者数、国民の国内旅行消費額や訪日外国人旅行消費額などの「経済的側面からの目標」、海外からの留学生・修学旅行生の積極的な受け入れや日本人若年者の旅行の促進といった「政治・外交的側面からの目標」をそれぞれ設定すべきである。

■ 政府が講じるべき施策

まず、国際競争力の高い魅力ある観光地を形成するため、観光圏をはじめとした広域観光の推進や、CIQ(税関、入管、検疫)の効率化など旅客ターミナルの整備、空港アクセスの向上、ICTの利活用による高度交通システムの構築など交通インフラの充実が急がれる。また、魅力ある観光地づくりに必要な人材の育成・活用策として、産学官連携による人材交流やインターンシップを積極的に行うべきである。

次に、国際観光の振興、すなわち訪日外国人観光客を増加させるために、ビジット・ジャパン・キャンペーンの新規市場の開拓、日本政府観光局(JNTO)のウェブサイトの拡充、グローバルネットワークチャンネルやSNS(Social Network Service)、ブログ等新しいメディアの活用による観光情報発信の強化などが重要である。あわせて、オープンスカイ政策のより一層の推進、輸出物品販売場における免税対象物品の拡大や免税販売手続きの簡素化も求められる。

さらに、観光旅行の促進のための環境の整備として、多言語対応コールセンターの設置、デジタルサイネージやスマートフォン等、ICTを利活用した観光情報の提供が急務である。加えて、日本の観光コンテンツの魅力向上のために、産業観光やメディカル・ツーリズム、スポーツ・ツーリズム等、ニューツーリズムの振興も重要である。

■ 推進体制の整備

これら各種施策を実行するための推進体制として、政府における観光政策の立案機能を一本化するとともに、政策の企画立案を行う観光庁と、情報発信・マーケティング等の実務を担う日本政府観光局の役割分担を明確にすることが欠かせない。

【産業政策本部】
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