日本経団連タイムス No.3041 (2011年5月19日)

ラフ英国国防省防衛装備・支援・技術担当大臣と懇談

−日英防衛産業協力強化へ意見を交換


ラフ担当大臣(左)と小林部会長

日本経団連は4月25日、東京・大手町の経団連会館でピーター・ラフ英国国防省防衛装備・支援・技術担当大臣との懇談会を開催した。英国政府高官の来日は、3月の東日本大震災後初めてであり、大震災への支援と日英の防衛産業の協力強化を目指したもの。
会合では、日本経団連防衛生産委員会の小林孝総合部会長が司会を務め、英国の防衛政策について説明を聞くとともに意見交換した。概要は次のとおり。

■ ラフ担当大臣説明

英国の代表として、東日本大震災の被害者に深遠なる哀悼の意を表し、心からお見舞い申し上げる。

防衛の面で日本と英国は似ている。両国とも島国であり、海軍の長い歴史がある。昨年、両国は防衛政策を見直し、日本は「防衛計画の大綱」、英国は「戦略的防衛と安全保障の見直し」を策定した。

英国では、前政権が残した財政赤字のため、保持する戦闘能力について難しい選択を余儀なくされ、戦闘機「ハリアー」の退役の決断をした。戦闘機は「トルネード」と「タイフーン」が中心になり、いずれもリビアで運用されている。次の10年間は、タイフーンとF35の2つの戦闘機を中核とした体制に移行する。

日本は次期戦闘機の選定作業を開始しており、タイフーンの採用に向けた働きかけのため来日した。英国は、タイフーンが航空自衛隊だけでなく日本企業の生産にあたってのニーズに最も合うと認識している。

今年の夏に英国政府は白書を発表する。そのテーマの1つは、装備、サポート、技術のニーズに国際関係が果たす重要な役割である。単独で防衛や安全保障能力を開発できる国はほとんどない。グローバル化が進むなか、他国との協力が不可欠である。

英国は日本と協力したいが、政府間の協力関係を発展させるためには、日本側に障壁がある。日本には、武器輸出三原則等を見直して、武器輸出を厳重に規制する国際レジームに参加している英国などとの装備品の共同開発を認めることが求められる。

■ 意見交換

「F35とタイフーンのミッションはどう分けるのか。価格、調達のスケジュール、ライセンス生産が可能な点以外に、F35と比べたタイフーンのセールスポイントは何か」との質問に対し、ラフ担当大臣は「F35は空対陸、タイフーンは空対空のミッションであり、両者は補完的な機能を果たしている。タイフーンはアップグレードがしやすく、関連技術の開発も簡単である。武器輸出三原則等の緩和によって、タイフーンを輸出したい」と答えた。

【産業技術本部】
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