日本経団連タイムス No.3042 (2011年5月26日)

訪中ミッション派遣

−震災後の新たな日中協力のあり方/温家宝総理らと意見交換


温家宝総理(右)と会見する米倉会長

日本経団連(米倉弘昌会長)は5月11日から14日にかけて、中日友好協会の唐家セン名誉顧問の招きで、米倉会長(団長)、御手洗冨士夫名誉会長(顧問)、渡文明評議員会議長をはじめとする7名の団員で構成するミッション(総勢約30名)を北京に派遣した。

ミッションでは、温家宝国務院総理、李源潮共産党中央組織部長、唐家セン中日友好協会名誉顧問ら中国の官民のリーダーと、わが国の震災復興および第12次五カ年計画の下での両国の新たな局面における協力推進策について集中的に意見交換を行った。

温総理との会見では、日本側から、中国官民による東日本大震災への迅速かつ多大な支援への感謝を伝えるとともに、震災復旧が着実に進んでいることを報告した。温総理からは、「大きな困難に直面している日本の被災者の苦難をわが事のように感じている。この時期の訪中は対中関係重視の表れであり、大変意義深い」との発言があった。

そのうえで、温総理は、(1)対日輸入検査の緩和や観光事業の回復等による対日支援の推進(2)震災復興、再生エネルギー、原子力安全、貿易投資、地域間協力、人材・文化面の日中交流の強化(3)日中韓の投資協定の締結と自由貿易協定(FTA)の政府間交渉の開始の見通し――など、具体的な協力策について説明した。また、「日中韓首脳会議での訪日の際に、被災地を訪問する」と表明した(訪問は5月21日に実現)。

一連の会合では、中国側から、日中両国経済は相互補完関係にあり、東日本大震災が中国の自動車や電子・電機などの主要産業への部品供給の停滞を招くなど、中国経済に直接の影響をもたらしているとの指摘があった。また、日本経済の早期復興に強い期待が寄せられるとともに、経済界の復旧努力が高く評価された。

なお、ミッション一行が滞在中の5月12日が四川大地震から3年目に当たったこともあり、米倉会長から、両国の震災犠牲者の子弟を相互に支援する事業を来年の日中国交回復40周年記念事業として立ち上げる意向を温総理および唐名誉顧問に伝えたところ、その場で賛同を得た。今後、経団連と中日友好協会との間で具体化の検討を進めることとしている。

【国際協力本部】
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