経団連タイムス No.3043 (2011年6月2日)

米倉会長が総会後に記者会見

−東日本大震災からの復興について


記者会見する米倉会長

経団連の米倉弘昌会長は5月26日、東京・大手町の経団連会館で定時総会後の記者会見に臨んだ。

東日本大震災からの復興について米倉会長は、新しい発想で復興に取り組むには、官民連携が欠かせないとしたうえで、政府には、内外の投資を呼び込むためにも復興特区を設けてほしいと期待を示した。また、経済界としても、「未来都市モデルプロジェクト」に盛り込んだ先進的な技術やサービスを活かし、復興や街づくりに取り組んでいきたいと述べた。

さらに、東北地方の農水産業は日本経済にとって重要な地位を占めていると指摘。復興に際しては、これまでの農水産業の再生にとどまらず、より国際競争力のある、魅力的な産業としていくことが重要との認識を示した。


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会見には、米倉会長のほか副会長も同席し、新たに選任された8名の副会長がそれぞれ抱負を述べた。

小島順彦副会長は、わが国の重要課題として、(1)震災からの復興(2)財政再建(3)成長――を挙げたうえで、「中長期的な成長力確保に向けたTPPの推進や、若い世代の教育の充実が重要である」と指摘した。

畔柳信雄副会長は、「世界のマーケットは、わが国が震災前からの課題への対応と復興をどう両立させるかに注目しており、グローバルな信認を得るためにも、着実な対応の決定と実行が重要だ」と述べた。

勝俣宣夫副会長は、「わが国が新興国の活力を取り込み、持続的成長を実現する観点からもTPPは重要だ」とし、「早期に参加交渉に入れるよう積極的な提言を行いたい」と語った。

大塚陸毅副会長は、震災復興への決意とともに観光政策について触れ、「経済効果だけでなく、観光を通じた国民同士の交流は、開かれた日本をつくるうえでも重要性を増している」との認識を示し、活動に一層力を入れていくとした。

斎藤勝利副会長は、「人口減少が続き、社会保障関係費が増大するなかで、社会保障と税・財政の一体改革を推進し、安心の基盤となる新たな社会保障制度を再構築していくことが使命である」と述べた。

奥正之副会長は、「日本の再生のために、スピード感を持った意思決定と実行が重要だ」と指摘したうえで、「金融や経済法規に関するグローバルなトレンドを踏まえつつ、わが国の経済インフラの整備に努めたい」と語った。

宮原耕治副会長は、「官民挙げて国際競争力を強化することが何より重要」とし、「経営労働と運輸の分野で、競争力強化に向けた活動を行いたい」と語った。

大宮英明副会長は、「中長期的に経済の持続的な成長を図るには、人材育成と技術力の維持、イノベーションが重要だ」と指摘するとともに、「企業行動や防衛といった分野で企業への啓発や提言の取りまとめを行っていく」と語った。

記者会見には新たに選任された8名を含む副会長が同席した
【社会広報本部】
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