経団連タイムス No.3046 (2011年6月23日)

米倉会長記者会見

−原発の再稼働要請などで


経団連の米倉弘昌会長は20日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。

原発の再稼働要請について米倉会長は、政府が一歩踏み出したことに一定の評価をしながらも、政府の責任で安全基準を見直し、再発防止を徹底するという基本条件は残念ながら満たされていないとして、「国民、特に原発周辺の住民の理解が得られるよう、政府は全力を挙げて情報開示を進め、説得に努めるべき」との見解を示した。

震災復興基本法については、「経団連の考えていたものよりも随分と後退した内容である。復興に向けた基本方針のみならず、復興計画の策定も政府が責任を負うことを明確にすべきだ」と述べた。とりわけ、復興特区や復興庁を立ち上げるのに新たな法律を策定する必要があり、スピード感をもって復興を進めるうえで問題があるとして、政治の強力なリーダーシップの発揮に期待を示した。

国際会計基準については、国際的な基準の統一を目指すことはよいが、「日本の産業界、特に製造業は、投資判断となる一時点の企業価値よりも、ゴーイングコンサーン(継続企業の原則)に重きを置いている」と指摘。IFRS導入に対する米国のスタンスが変化してきていることもあり、わが国でも時間をかけて検討していく方向になっていることは望ましいとの考え方を示した。

再生可能エネルギーの固定価格全量買い取り制度については、(1)まずは復興を最優先すべきであり、国の将来を左右する中長期のエネルギー政策の議論は復興のめどがついてから始めるべき(2)その段階で原子力エネルギー、化石燃料、再生可能エネルギー等のあり方を包括的に国民レベルで議論すべき――と指摘。また、いま再生可能エネルギーのみに着目し、しかもその一つの手法にすぎない全量買い取り制度だけを取り上げることに、疑問を抱かざるを得ないと語った。

【社会広報本部】
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